放課後の生徒会室に響く、謎の音。
――ぱっちん、ぱっちん。
元親:………なぁ。
元就:………。
――ぱっちん、ぱっちん。
元親:「なぁ」つってんだろ。
元就:黙って手を動かせ。
元親:だぁああああっ!!!!(すぱぁんっ!)こんなもん無言でやってたら気が狂うっ!
元就:大事な資料を叩き付けるでない!(すこぉおおおん)
元親:ぐぉぉ……何もでっけぇ三角定規で殴ること無ぇだろうが……。
元就:これは明日の生徒総会で使用するため、我が睡眠時間を削って仕上げた
「どりょくのけっしょう」だぞ。手荒に扱うな。
元親:努力の結晶ねぇ……。使い慣れない言葉使うから、平仮名になってんぞ。
――ぱっちん、ぱっちん。
元親:なぁ……これ、あと何部ホチキス留めすりゃいいんだ……?
元就:生徒・教職員の人数分だ。
元親:確実に帰れねぇ……。今日のパワーパ○ガールズ観られなかったら
どーしてくれんだよ。
元就:貴様、録画していたではないか。
元親:録画は録画。生でも観んだよ。
元就:阿呆ではなかろうか。
元親:ほっとけ。………つーか、他の生徒会の奴等はどうしたんだよ。
俺、生徒会関係ねぇだろ。
元就:部活動、アルバイト、産気づいた飼い犬、産気づいたハムスター。
様々な理由が重なってな。暇を持て余しているであろう貴様を使ってやった迄よ。
元親:なんか、前にもこんなことあったよな?
元就:そうか?
元親:お前………騙されてんぞ。
元就:………っ!な、何を言う!この我が捨て駒共に謀られる筈がなかろう!
元親:お前、単純なんだか捻くれてんだか、よくわかんねぇよな。
元就:………。貴様も逃げたければ勝手にしろ。
元親:………。……けっ。やってやるよ。
元就:ほぅ、素直なことだな。
元親:同じ寮に帰るんだ。どうせ逃げたところで、人のフィギュア壊しに来んだろ。
元就:よくぞ見抜いた。褒美を使わす。
元親:嬉しくねぇよ。つか、褒美ってホチキスの替え芯かよ!
――ぱっちん、ぱっちん。
元親:だぁぁ……腹減った。
元就:貴様は10秒と黙っていられぬのだな。
元親:手伝ってやってんだぞ。愚痴ぐらい自由に言わせろ。
………ん?なんか、良い匂いしねぇ?こうふわぁっと……甘い匂いが……
元就:………この香………っ!!!!(立)
元親:待て!(掴)何処へ行く気だてめぇ!
元就:こ、この香は危険な毒草の香だ。早く行って取り除かねばなるまい。手を離せ!
元親:毒草だぁ……?(嗅)この匂い………あんこだろ?
元就:っ!!ふ、ふん!コレだから愚か者は早死にするのだ。アーモンド臭の青酸カリ然り。
毒とは得てして甘い香りがするものよ。
元親:嘘つけ!一人だけ喰いに行こうたってそうは行かねぇぞ!
元就:ええぃ離せ!我には会長として学園の平和を守る使命が……
元親:………。
元就:………。
元親:やっぱ汁粉じゃねぇかよ。
元就:(咳払)……汁粉の香がする毒草も存在する。
元親:あくまで認めない気か。汁粉の鍋抱えた女子が通り過ぎたの、
見えなかった訳じゃねぇだろ。
元就:(ぱっちん、ぱっちん)
元親:この野郎……。……阿呆らし。食い下がったところで、余計に腹が減るだけだ。
元就:長曾我部にしては、賢明な判断だな。
元親:五月蠅ぇよ。……今の女子は、クッキング部だろうな。
元就:そういえば、猿飛が真田に「楽しみにしていろ」だのと言っていた気がするな。
元親:幸村の奴、クッキング部に入り浸っちゃ、何か喰わしてもらってるらしいぜ。
今じゃ「試食部長」なんて呼ばれて、本人も御満悦なんだと。
元就:我も就任したい……。
元親:猿飛に掛け合ってみるんだな(笑)
――ぱっちん、ぱっちん。
元就:………。何やら、煮物の匂いもしてきたな。
元親:猿飛の奴、夕飯まで作っていく気だぜ。俺等もさっさと終わらせて帰ろうぜ。
あ。こんだけ手伝わせたんだから、お前、帰りに何かおごれよ。
元就:よかろう。
元親:お。珍しく素直だな♪何喰わしてくれんだ。
元就:とっておけ。(投)
元親:………。何だコレ?
元就:煮干しだ。少ない脳みその足しにしろ。
元親:……嫌がらせか。
元就:中間考査も赤点まみれだった輩へ、せめてもの心遣いだ。
元親:あ~へいへい。有り難うございます~。(ぼりぼり)
………はぁ~あ、見てみろよ、窓の下。部活終わった奴等もどんどん帰ってくぜ。
元就:貴様が無駄口ばかり叩いているから帰れんのだ。
元親:お。浅井だ。……お。あっちは上杉。あっちは………前田のねーちゃんか。
いいなぁ~……俺も彼女欲しぃ~………手繋いで帰りてぇ~……。
元就:ならばまず品性を養うことだな。とりあえず、煮干しのカスを書類に落とすな。
元親:………お!見ろよ元就!
元就:何をする!離っ………む?あれはスカーフの色から察するに、一年の女子だな。
あんな所で何をしている。
元親:馬鹿、お前~。女子が校門でモジモジしながら待ってるったら、答はひとつだろ!
嬉し恥ずかし、告白タ~イム!!いやほぅい~っ!!!!
元就:何を踊り狂っているのか知らぬが……あれは、いつきではないのか?
元親:あ。ホントだ。うぉ~これは益々見逃せねぇ~っ!!!!
元就:……(呆)む?誰か出てきおったぞ。
元親:アレは………伊達っ!!!?
元就:伊達だな。
元親:ぎやぁああああっ!!!!どうしよコレ!俺明日からまともに顔みれねぇよぉおお!!!!
そりゃ、アイツは妹みてぇに可愛がってるけどよぉ~!だってなぁ~♪
元就:何をにやつきながら身をくねらせておる。気色の悪い。
……。会話を始めたな。
元親:おぉ~!いよいよ本題だな!
元就:馬鹿者っ!押すなっ!………む?何やら伊達が手を合わせておるぞ。
侘びでもいれておるのか?
元親:「悪ぃ……お前のことは、妹としかみれねぇ……」「妹っ!妹ってどういうこと!?」
「だから、それは……」「酷いっ!あれは遊びだったのね!」
元就:妙な台詞を宛がうな。
元親:けど、あながち間違ってねぇと思うぜ。
元就:貴様は何処まで愚かなのだ。伊達が渡している物を見よ。
元親:なんだ?あの束は。手切れ金か?
元就:……(呆)『ポケット○ンスター攻略本』と書かれて居る。
元親:攻略本?……なんか、ごわごわだぜ。アレ。
元就:大方、伊達が借り物の書物に茶でも零したのであろう。
元親:それで怒ってんのか……?なんだよ、つまんねぇ。
元就:コレはコレで見物だ。見よ。ハンマーを持ちだしたぞ。
元親:何処に持ってたんだ?お、伊達も何とか避けきったな。
元就:ほぅ。ハンマーから郵便ポストに武器を替えたな。
元親:引っこ抜いたのかよ……すげぇ。
元就:伊達もしぶとく避けるものよ。見よ、攻撃が逸れて自転車置き場に突っ込んだ。
あの攻撃を受ければ、伊達もあの自転車の如く無惨な運命を辿る。
元親:ハハッ!頑張れよ伊達~!いつきも逃がすな~!
元就:呑気なことだな。
元親:おぅ!完全に人事だからな(笑)まぁ、アイツ等が喧嘩してんのなんざ、
珍しくもねぇしよぉ。
元就:そうか。あの叩き潰された自転車に、我は見覚えがあるような気がするのだが。
元親:俺のチャリンコーーーーーーーっ!!!!!!!!あんの馬鹿共!止めてくるぜ!(走)
元就:……………(溜息)
――ぱっちん、ぱっちん。
元親:あぁ………疲れた……。
元就:自転車はどうであった。
元親:何とかパンクは免れたが……真っ直ぐ走ろうとしても、微妙に右に逸れる。
元就:人の不幸を嘲笑った罰よ。
元親:お前も面白がって見てたじゃねぇか。
元就:いいから、とっとと作業を続けろ。
元親:へいへい。
――ぱっちん、ぱっちん………
がっしょぉおおおおおおおおおおおおおん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
元親:うぉおおおっ!!!?
元就:何事だ!?敵襲か!?
元親:………。違ぇ。見ろよ、コレ。
元就:………?サッカーボールか?
元親:おるぁっ!誰だこの野郎っ!!!
元就:む!アレを見よ!
元親:あのいかにも「やべぇ」って顔して逃げていきやがるのは……
……前田ぁぁぁああ~!!!!
元就:参の星よ、我が紋よぉおおおおおおおおおおおお!!!!!!
――ばしゅううぅっ!!!!
元親:………。
元就:愚民共が。校庭の無断使用は禁止されておる。
あまつさえ、この聖地生徒会室に危害を及ぼそうなど言語道断。
死してその罪贖うがよい!
元親:い、いや……怒るのも分かるけどよぉ……。お前……サッカー習ってたとか?
元就:いや?
元親:だって今の蹴り……すんげぇ勢いでボール飛んでったぞ!?
なんか、すげぇ悲鳴とかも聞こえたしよぉ。
元就:ふん。精々慌てふためくが良いわ。
元親:………。と、兎に角、この窓硝子片付けねぇとな。
元就:彼奴等は明日、校長室行きだな。
元親:箒、箒と……。しかしまぁ、見事に割れたな~。
元就:元々ヒビが入っていたのでな。
元親:この学校も古いからなぁ……ぬぉ!?
元就:ああ、其処の床は穴が空いているので気を付けろよ。
元親:嵌ってから言うな。うわ、ここの壁紙もズタズタだぜ。
これじゃいくら毎年大掃除だなんだつっても、たかが知れてるよな。
元就:校舎の方とて、大掃除の度に雲隠れする奴に言われたくなかろう。
それに、炎や雷やカラクリで、破壊活動を行う生徒も少なくないしな。
元親:ぐっ……。わ、悪かったよ。
――ぱっちん、ぱっちん。
元親:すっかり日が暮れちまったな~……あと何部だ?
元就:二クラス分だな。
元親:よっしゃあ、終わりが見えてきたぜぃ!………。
元就:……?なんだ。急に黙りこくって、気色の悪い。
元親:夜の学校ってよぉ………なんか………怖くねぇ?
元就:………。
元親:そういうあからさまな軽蔑の眼差し止めろよな~。学校って怪談も多いしよぉ。
……あ!怪談って言えば、この前島津の爺さんから聞いたんだけどよぉ、
この話知ってっか?
――ぱっちん、ぱっちん。
元親:すると其処には絢爛豪華な屋敷も、使用人達も、女の姿もなく、
生い茂る草に埋もれるようにして、廃屋が一軒。
そして、その前にはぽつりと、真っ白な骨………ぎぃやあああああ!!!!
元就:っ!!!自分で話しておいて叫ぶ奴があるか!
元親:だって怖ぇだろぉ!?お前だってびびってたじゃねぇか!
元就:貴様が急に大声を出すからだ。……くだらぬ。狸か狐の類であろう。
物の怪に化かされる話など、さして珍しくもない。
元親:狸じゃねぇだろ。だって骨あるんだぜ?きっと女の怨念が残ってってよぉ……
あ~やべ。寒気してきた。
元就:ふん。話から察するに、少なくとも100年以上前の話だ。
学校の怪談というのなら、もう少し現実味のある物にして欲しいものだな。
元親:けどよぉ、学校だって分かんねぇぜ。
元就:どういう意味だ?
元親:あ~……例えばよぉ、この学校って実はとっくに廃校になってたらどうする?
元就:………。貴様、設備が古いことに関する嫌味を言うておるのか?
元親:そうじゃねぇよ。なんつーか……もし、最初から全部なかったらってことだ。
元就:最初から……?
元親:そう。学校も、授業も、ダチも、こういう面倒くせぇ仕事も全部ひっくるめて
単なる妄想だったら。目が覚めたら、全部無くなって、
「あぁ、アレは夢だった」……なぁんて!
元就:………。
元親:おい……元就?
元就:…………。
元親:……悪ぃ。なんか切なくさせちまったみてぇだな。おら、煮干しやるから泣くな。
元就:誰も泣いて等おらぬわ!このような物いらぬ!
元親:酷ぇ。お前が寄越したんじゃねぇか……。
――ぴぃぽぉぴぃぽぉ~……
元親:あ?
元就:何事だ?
――ぴぃぽぉぴぃぽぉ~……ぴっ。
元親:救急車?
元就:近くで止まったらしいな。
元親:ちょっくら見てくるぜ。
――………ぱっちん、ぱっちん。
元親:元就ぃいいいい!!!!
元就:なんだ……(呆)
元親:お前がさっき蹴飛ばしたボール……き、近所の爺さんに当たったって……
元就:!!!!
元親:北条の爺さん、知ってるだろ?あの爺さんに直撃して、
もうこれは本格的にご先祖のお迎えじゃねぇかって、
今運ばれていったって……。
元就:………っ。わ、我も見に行く!
元親:馬鹿っ!お前は此処を出るな!
元就:な、何故だ……?
元親:何処からともなく飛んできたボールが原因で、爺さんが運ばれたんだぞ!?
今頃みんな、死に物狂いで犯人探してるぜ。逮捕されたらどうすんだよ!
元就:っ!!!た……逮捕……
元親:兎に角お前は此処を動くな。俺が情報集めてくっから。いいな!?
元就:う、うむ……。
元親:あ~、頼む爺さん、死ぬなよ~!(走)
元就:………。
――ぱっちん、ぱっちん。
元就:ふっ……このような状況で、資料作り等。意味もないというに、我も愚か者よ……。
――ぱっちん、ぱっちん。
元就:完了してしまった……。………。戻って……来ぬな。
――………。
元就:………。………長曾我部?
――戸を開くと、何処までも続く、埃を被った廊下。
剥がれた掲示物。割れた窓硝子。錆び付いた蛇口。倒れた椅子。
何処にも、人の気配など、無い。
元就:………。
――最初から、全部、単なる………夢?
元就:………。元親?
――さいしょから、だぁれも、いない。
元就:元……
元親:呼んだか?
元就:ぬぉおおおおおっ!!!!?
元親:おぉおおおおおっ!!!!?な……なんだよ。
元就:なっ……だっ……き、貴様がなんだ!人の背後に急に立つな!
元親:痛ってぇな!殴ることねぇだろうが!……おら。
元就:……?ボール?
元親:デマだった。
元就:デマ?
元親:お前の蹴飛ばしたボールは、普通に転がってた。あの救急車は、
頭に矢ぁブッ刺したまんまウロウロしてた明智に驚いた近所の住民が
呼んじまった物らしい。
元就:矢……。
元親:そんなの日常茶飯事なんだから、放って置いても死にゃしねぇのによぉ……
あ~あ、くだらね(笑)
元就:ほんに……くだらぬ。
元親:いやぁ~、俺咄嗟に、逃走経路まで考えちまったぜ。高飛びするったって
俺はTSU○AYAの無い国じゃ生きていけねぇし、お前は枕が変わると
寝らんねぇとか言うし、兎に角いっぺん寮に戻って荷造りして……
元就:……(溜息)つくづく貴様は阿呆だな。
元親:あぁ?てめぇ、人が心配してやってんのに、その言い草は無……ぶっ!
元就:書類も出来上がった。とっとと帰るぞ。
元親:が、顔面に叩き付けやがって……。鼻が低くなったらどうしてくれんだ。
元就:さぁな。少しはマシな顔になるのではないか?(微笑)
――かしょっ……
元親:あ……ベル鳴らなくなってやがる……(沈)
元就:余所見をするでない。また右に逸れてきておるぞ。
元親:しょうがねぇだろ!ハンドルそのものが曲がってんだから。
大体お前な、後に乗っけて貰ってる分際で偉そうなこというんじゃねぇよ!
元就:早う漕げ。パワーパフなんとやらに間に合わなくなるぞ。
元親:なんだよ。お前も見てぇのか?(笑)
元就:………。………そうだな。
元親:!!!!!
元就:なんだその顔は。滑稽さに拍車が掛かっておるぞ。
元親:いや……お前、俺がアニメ見てる間、大抵イヤホン付けて見ろだの
天気予報見せろだの、やかましいから出て行けだの、
邪魔ばっかしてくるくせによぉ
元就:焦がされたいか。
元親:すいませんでした………。
また如しです。
今回もぶちおもしろかったです!!!
パワーパ○ガールズって………アニキはとことんオタクなんですね\(・∀・*)/
今回は瀬戸内が主役っぽいから嬉しいです!! アニキもオクラさんもなんだかんだで怖がりの国の人っぽいですね
!
「怪談」の時はアニキが一瞬姫化してたけど今回はしなかったから残念なようななんというか姫化しても怖いようなでもやっぱり姫化すr………(エンドレス
関係ないのですが昔の筆頭ってビビリで内向的だったんですね…最近知ったんですがちっちゃいころお寺で不動明王をみてビビビったらしいですよ!
あんまり言うとブシュッと刺されそうなのでこの辺で終わります!!
お仕事大変そうですね!風邪ひかないように(?)組合(?)頑張ってくださいm(_ _)m
お返事遅れてすみませぬ…orz
パワーパ○ガールズは、アニキのお気に入りだと勝手に決めつけました。
ブロッサムが好きです。私が好きなんですが。
オクラさんもその他も、多分みんな怖がりの国の人です。
ヒトリが耐えられない、お祭り野郎共です。
確かに、アニキの姫要素がちょと足りなかったかなぁと思ってます(汗)
次に瀬戸内で書くときは、姫てんこ盛りで行こう。うん、決めた。
筆頭がビビリ!?おおうこれはイイ情報を有り難うございます(にやにや)
そんな梵天丸様……いいですねぇ(悦)
仕事もなんとか乗り切って参ります。
コメント、ありがとうございました!
またのお越しをお待ちしております!
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