――おいでよ、ばさらの森。
ばさらの森に、タクシーに乗って、新しい友達が引っ越してきました。
あひる:到着~。流石は麻呂!鮮やかなドライビングテクニックだったでおじゃ?
うさぎ:………。途中すれ違ったタクシー……みんな運転手が白塗りだったんだけど……
あひる:その通りおじゃ!麻呂の経営するタクシー会社しか、この辺りには無いでおじゃ。
またのご利用、お待ちしてるでおじゃ~♪
うさぎ:………。
うさぎは、二度とタクシーを利用しまいと心に誓いました。
荷物を抱え、これからお世話になる、おじさん夫婦の家へと向かいます。
――自宅
いぬ:お~、待ってたぞ!良く来たな!
三毛猫:長旅、さぞやお腹も空いたことでしょう。さぁ、沢山の果物を用意しました。
今夜はご馳走ですよ♪
いぬ:まつの旨い飯が食べられるなんて、お前は幸せ者だぞ!
毎日其れを食べられる某は、最高の幸せ者だけどな!
三毛猫:まぁ、犬千代様ったら♪
いぬ:まぁつぅ~♪
三毛猫:犬千代様ぁ~♪
うさぎ:……。夢吉、村を見て回ろうか。
うさぎはこれからの生活が甚だ不安になりましたが、
ここは前向きに、ペットの小猿と共に、村を見て回ることにしました。
うさぎが猿を飼うのかというツッコミは、してはいけないようです。
さて、トコトコ道を歩いていくと、何処からともなく、奇妙な声が聞こえました。
――上杉家
謎声:……ぁああああ~……
謎声:……ふふふ……
謎声:……で、ございます……様ぁあああああああああ!!!!!!!!!!
うさぎ:……?
気になって近くへ行ってみると、
何やら角を振りかざしている真っ白な鹿と、
つぶらな瞳を潤ませながら、うっとり雄叫ぶ白い梟がおりました。
しか:よかった……すてっぷをますたーできました。
これでじかいのゆきぐみのこうえんにはまにあいますよ。
白梟:感激でございます、謙信様ぁあああああああ!!!!!
うさぎ:なぁ、アンタ等何やってんだ?
白梟:はっ!何奴!?
うさぎ:そう身構えるなよ。俺、今日この村に引っ越してきたばかりなんだ。
いろいろ教えて欲しいな~と思って声かけたんだよ。
しか:なんと!しんいりですか。よいでしょう。なんでもおききなさい。
うさぎ:よかった♪じゃあさ、どっかこの辺に買い物できるトコ無い?
引っ越ししたばっかりだと、何かと入り用でさぁ。
しか:じかいのこうえんでしたら、らいしゅうのどようび。
Aせきはかんばいですが、Sせきにはまだじゃっかんのゆうよがありますよ。
うさぎ:いや、そうじゃなくて、俺は店を……
白梟:謙信様!かすがはSからEまでコンプリートしてございます!
しか:おぉ、みごとなろいやるすとれーとふらっしゅですね。よくやりました、つるぎ。
白梟:有り難きお言葉!
しか:えんもくはかのゆうめいな「きゃっつ」。みのがせませんよ?
うさぎ:いいよ、別に……。っていうか、鹿が猫やるのかよ。ややこしいよ。
話が盛り上げかけた頃、ふいに声がしました。
カラス:……よっと。(着地)邪魔するよ~。
白梟:貴様、何しに来た!
カラス:な、何もいきなり爪突きつけてくること無いでしょうが。おぉ~怖。
俺様はただ大将のお使いでお手紙をね……って、あれ?だれ、この子?
白梟:知るか。いきなりやって来て、謙信様になれなれしい態度をとる、
無礼な輩だということ以外はな。
うさぎ:こ、こんちわ~♪
カラス:はい、こんにちは~。(こそ)………え?何?かすがも身元知らないの?
う~ん……今って何かと物騒だしさぁ。うちも近所だし、やばそうな感じなら、
今の内に協力してさっくり行っちゃとかな~い?
うさぎ:お、おいおい!お茶に誘うノリで、物騒な相談しないでくれよ!
俺は単なる風来坊。近所に越してきたから、挨拶回りしてるだけだよ!
カラス:あはは!見りゃ分かるっての。冗談冗談♪
それで?新入りうさぎさんは何処に越してきたの?
うさぎ:向こう二三軒を右に曲がったところだよ。
カラス:あ~、この前言ってた、前田の……。そう言うことなら安心だね。歓迎するよ。
うさぎ:おい!今仕舞ったの何だよ!その尖った奴!
お前、さっきの絶対冗談じゃなかっただろ!
カラス:心外だなぁ。俺様、超フレンドリーな鳥なのに。ねぇかすが?
白梟:触るな!
カラス:酷っ……ってわぁあああ!!!ちょ、分かったから!
触んないから、そのカラス避けの目玉みたいの近づけないで!頼むって!
白梟が、カラスよけを振りかざしたその時です。
謎声:上洛じゃぁあああああああああああ!!!!!(ちゅどどどどどおおおおむ!)
うさぎ:わ!な、何!?
白梟:雨霰の如き隕石……お前は!
トラ:ふっはっは!来てやったぞ、上杉。
うさぎ:な、何……!?トラ!?なんでトラが隕石!?
トラ:ほほう、お主が本日都より罷り越したという新入りじゃな?
儂は甲斐の虎よ。隕石くらい、どうと言うことはないわ。ふっはっは!
カラス:どうと言うこと有るよ!この穴、いちいちスコップで埋めるの俺様なんだよ!?
勘弁してよ、大将!
トラ:ふっはっは!
カラス:あははじゃねぇよ、全くもぅ……(疲)
うさぎ:何?知り合い?
カラス:まぁね。同居人。俺、居候だし。
うさぎ:ふ~ん。
しか:どうしたのですか、かいのとら?とつぜん、なにようです。
トラ:手紙にあった通りよ。今日も……………呑むぞ!
しか:おぉ!それはめいあん!さぁ、うたげとまいりましょう。
カラス:また呑むのかよ!つか、大将、この手紙そんな内容だったの!?
だったら回りくどいコトしないで、直接自分で誘いに来てよ!
トラ:すまん!
カラス:胸張って謝られても……(呆)
うさぎ:いろいろ大変なんだな……お前。
カラス:分かってくれる~?……あ。そうだ!どうせ大将今夜も飲み明かす気だろうし、
お土産余らせるのも何だから、うちに寄ってってくんない?
うさぎ:へ?いいのか?
カラス:人数分買った団子が有ったんだけどね。大将の分が余ったなんて言ったら、
また調子に乗って、それも食べる~とか言い出す人がいるからね。
うさぎ:なんかよく分かんないけど、いいや!お邪魔するよ♪
トラ:つまみも持ってきたぞ上杉!鹿肉じゃああああああ!!!!!!
うさぎ:おいおい、おっさん。デリカシーデリカシー。
しか:ほぅ、これはなかなかのちんみ。つるぎもおたべなさい。
うさぎ:喰ったし!
カラス:そんなんで驚いてたら、この先この村では生きていけないよ(笑)
早いトコ付いてきて~。(飛)
――武田家
カラス:ただいま~。
柴犬:お帰り佐助えええええええええええええええええ!!!!!!(跳)
カラス:へっ!?ちょ、待っ……!
柴犬:(頭突)おぉ!すまぬ、つい勢い余って……大丈夫か!?
カラス:あのね……出迎えてくれるのは有り難いんだけど、毎度毎度
肉食動物に跳びかかられる鳥類の身にもなってくんない?軽い恐怖だから……。
柴犬:佐助!佐助!買ってきたな!買ってきたのだろうな!
うさぎ:うわぁ~すっげぇ!尻尾ばっふんばっふん振ってら!
柴犬:む?此方の御仁は何方でござるか?
カラス:近所の……ほら、前田の家に越してくるって言ってた人だよ。
柴犬:おぉ!そなたが前田殿の!お初にお目に掛かる!
うさぎ:堅苦しい挨拶は抜き抜き♪これから宜しくってことで、お邪魔したんだ。
さ、早いトコ団子、いただこうぜ~♪
柴犬:おぉおおおお!!!!団子ぉおおおおお!!!!一杯あるでござるな~♪流石は佐助よ!
カラス:はいはい、そんなことで誉められても嬉しくないから。
大将は今日は要らないから、え~と一人分の本数は……(考)
柴犬:………。佐助。
カラス:何?
柴犬:おぬし、よもやお館様の分の団子を某に食わせまいと、この御方を誘ったのでは
………あるまいな?
カラス:………。(ぼそ)妙なトコだけ敏いんだからこの子は……。
ち、ちがうよ~!お近づきの印、ね!
うさぎ:あ、あぁ!そうだよ!
柴犬:むぅ……三人だと、一人4本しか食べられぬ……。二人なら……
二人なら六本食べられたものを……。………。
うさぎ:………。あ、あれ?ひょっとしなくても、俺、滅茶苦茶恨まれてない?
カラス:気のせい気のせい♪さ、旦那。まさかお客の分までとるような
はしたない真似はしないよね?おやつにしようか。
柴犬:ぬ、ぬぅ……。
うさぎ:お、俺やっぱ帰るわ!
カラス:え!?
柴犬:誠か!?なんと残念なことであろうか!
カラス:旦那。尻尾フリながら言わない。気ぃ使わなくていいんだって!
みんなして甘やかしてたらろくな大人になんないんだからさぁ。
うさぎ:俺にはこの恨みがましい視線に耐えながら、団子食べる度胸無いって(苦笑)
あ、それよりさぁ、俺、ハブラシ買ってくんの忘れちゃって。
どこか近くに店とかない?
柴犬:むぅ……ハブラシ屋さんでござるか(考)
カラス:いや、そんなピンポイントな店、成り立たないから。
日用品なら、出て二つめの角を曲がって、橋渡って、坂を登り切ったら、
右に曲がって少し行くと、それなりの大きさのスーパーがあるよ。
うさぎ:う~ん……なんだかややこしいな。
柴犬:では某が案内しよう!団子のお礼でござる♪
うさぎ:「お礼」ってのも……なんか複雑だな(苦笑)
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