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戦国BASARAの二次創作文。 政宗、幸村、佐助、元親、元就が中心。 日々くだらない会話をしてます。
Posted by - 2025.02.02,Sun
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Posted by 今元絢 - 2009.03.14,Sat
――サスペンスもどき。
   全四話の予定。例によって長いです。

私の名は松永久秀。警視庁殺人課に勤務する刑事だ。
日頃は血生臭い事件にばかり関わっている私だが、
今、見渡す限りに広がるのは、コバルトブルーの海原。
心に巣くった垢を落とすため、年に一度のバカンスに訪れているのだ。
心地よい潮風、海鳥の鳴く声。
ゆるりゆるりと、波の揺れに伴った船の上下動がなんとも……

政宗:船酔いか?
久秀:………。卿も読みが甘いな……私は海の青の深さに、少々目眩がしただ……
   ……………~~~~っ。
元親:おいおっさん。無理しないで中で転がっとけよ。俯いてしゃがみ込んでると
   余計悪化するぜ。
佐助:お茶でも飲んどく?あ、水の方が良いのかな?
幸村:某アイスココアがイイでござる♪
元就:貴様はさっき散々「なっちゃん」を飲んでいたであろう。腹を下すぞ。
慶次:しっかしまぁ、アンタなんだってこんな大海原漂ってたんだい?
   俺達の船が拾ってなきゃ、一大事になるトコだよ。
久秀:何、さして珍しい理由ではない。湘南海岸で憩いのひとときを過ごしていたのだが、
   睡魔に襲われてな。満ち潮に攫われ、気が付いたら波間に揺られていたのだ。
政宗:充分珍しいってんだよ。此処、瀬戸内海だぞ。どんだけ流されてんだよアンタ。
久秀:青き海は、人の心を狂わせるのだよ……
政宗:狂ってんのはアンタの神経だろ。
久秀:まぁ、ここで会ったのも何かの縁。目的地まで同行して差し上げよう。
元就:出来れば直ぐさま消えて欲しいのだが。
慶次:そう言うなよ。捨ててく分けにも行かないだろ?(苦笑)
元就:島に着いたら、沿岸警備隊でも何でも連絡して、迎えに来て貰え。
   我等の船は、当分本州へは戻らぬからな。
久秀:ほぅ。南の島で友人同士キャンプといったところか?苛烈苛烈。
政宗:そういう単純な話なら……楽で良いんだけどよ。
久秀:?
小十郎:政宗様!島が見えましたぞ。

示された、船の行く手。
黒々と光る岩肌が剥き出しのその島に、微かな寒気を感じた。

明日菜島。その昔は肥えた土の農場の広がる島だった。
今日植えた作物が、明日にも穀物が取れるなどと大げさに評した者が居付いた名前らしい。
だが、本当は、そんな名で呼ぶ者一人もいない。
そう、村の者達に聞いたのは、全てが終わった後のことだった。

――阿修羅島。地獄の跡地。

禍々しい伝説の、遺る島。

――波止場
光秀:めんそ~れ……明日菜島へようこそ……。めくるめくペガサスファンタジーが……
   貴方を待っていますよ……んふ。
元就:ほぅ、流石は地獄と呼ばれるだけのことはあるな。
   降り立って直ぐ珍獣に出くわすとは。
慶次:通りすがりの変態だろ。しっしっ!あっち行け!
光秀:失礼しちゃいますねぇ……。私は貴方方の水先案内人………。
   なれない土地にいらして、さぞかし不安でしょうが……ご安心を。
   私が責任を持って……血で血を洗う狂乱の宴へと導いて差し上げますよっ!!!
   くはははははははは!!!!
政宗:案内いらねぇから、いますぐ郷里へ帰れ。
光秀:ふふふ……そんな全力で邪険に扱わないでくださいよ……
   興奮してしまうではないですか……くくく……
佐助:どう思う?情操教育に良くないよね。
小十郎:まったくだ。今の内に葬っておくか。
光秀:やめておいた方が宜しいかと思いますよ……。
   館への道のりは入り組んでいますから、案内無しにはたどり着けないでしょう……
   そもそも私は「主人」から命を受けた者……
   貴方方に私を拒否する権利はない筈ですのでね……くふふふ。
元親:げ!現地で待ってるって言ってた世話役って、此奴なのかよ!
   俺、可愛いメイドさん軍団期待したのに……
小十郎:例の手紙には、詳しい事は何も描かれていなかった。此奴から聞き出す以外、
    方法はないのでしょうな。
政宗:Shit!こんな野郎の言いなりになるのかよ。
光秀:さぁ皆さん、まずは点呼を取りますよ……。私を基準に、小さく前へならえをして
   集合なさってください……(笛)
幸村:了解でござる!
佐助:旦那、あんなのに律儀に付き合わなくてイイから。
幸村:し、しかし……笛を吹かれると条件反射で動いてしまうのだ。
光秀:貴方は実に真面目な方だ……。それに比べて他の方はどうです。
   何故、一斉に体操の隊形に開くんですか。
政宗:てめぇからは極力遠ざかっておきてぇんだよ。
光秀:んふ……つれないですねぇ……。まぁいいでしょう。
   見た目で大体想像は付きますからね。貴方は……その若さにして一家を担い、
   その手腕と隻眼から「独眼竜」と渾名される、伊達家の子息。
政宗:……。
光秀:隣は、恐らく使用人と言ったところでしょうか。
   其方の……私とおそろいの長髪の御仁は、破天荒な振る舞いで世間の注目を集める
   前田家の子息でしょう。
慶次:アンタとお揃い扱いってのは、切ないものがあるんだけど……。
光秀:貴方は、その気迫に魅せられる者も多いと聞く真田家の方でしょう。
   ……おや?貴方も従者をお連れのようだ。
幸村:おぉお!ピンポンでござる♪
佐助:……俺様はあんま嬉しくないけどね。
光秀:貴方は……粗暴でありながら繊細という、造船技術にも長けた
   長曾我部の者でしょう……。其方は……神懸かり的な支配力で部下を導くという
   毛利の子息でしょうね……。
元就:此奴と一括りにするな。
元親:いやぁ~、俺、繊細かなぁ~?(照)
光秀:そして貴方は……貴方は……………誰ですか?
久秀:名乗るほどの者でもない。浪漫の波に誘われる、孤独な旅人とでも言っておこうか。
政宗:瀬戸内の波に攫われた、不憫なおっさんだ。
久秀:卿は私に冷たく当たるな……。
光秀:ふむ……「候補者」以外屋敷に上げてはならないと言われていたのですが……
   此処で投げ出して、海の藻屑に成られても面白くない……。折角なら……そう……
   血飛沫を……
元親:話が進まねぇから、妄想は後にしろ。
光秀:つまりませんねぇ……。兎に角、お困りのようですので……貴方も屋敷に来ると
   良いでしょう……。歓迎しますよ……心から、ね………くふふふふ。

――道中

久秀:ふむ……。
慶次:おっさん、何一人で考え込んでるんだ?
久秀:卿等のやりとりを一通り聞いて思ったのだが……卿等は友人同士ではないのか?
慶次:……へ?
元親:まぁ……全員が全員知り合いって訳じゃあねぇよな。
   俺と元就は古い付き合いだけどよぉ。
元就:我は貴様など知らぬ。
元親:つめてぇな……。
幸村:某と佐助も幼少からの付き合いだぞ。慶次殿も友人でござる♪
慶次:な♪次遊びに行くときも、おもしろい本持っていってやるからな、幸村~。
佐助:今度は何する気……?(冷)また前みたいなビデオ持ってきたら…………千切るよ?
慶次:何を!?
久秀:成る程。此方と此方は友人同士。そして、卿はどうなのだ?
政宗:お、俺は……俺だって………(見)
小十郞:私は従者ですから。友人じゃありませんから。
政宗:………(沈)
久秀:ふむ、漸く理解できたよ。友人同士と、その他一名という訳だな。
政宗:てめぇ、そこへ直れぇえええええええええ!!!!!
小十郞:政宗様。路上で抜刀はよくありませんよ。
光秀:正確には、友人同士というのは間違いですね。彼らに相応しい表現は……
   「奪い合うもの同士」といったところでしょうか。
久秀:奪い合う?
光秀:んふふ……どんなに馴れ合うふりをしても……どんなに心優しきふりをしようと…
   人間、転ぶときは転ぶ……。欲に目がくらめば、何でもするということです……
久秀:ほぅ、奪い合いこそが本質だ、と?
光秀:私はそんな本質も愛でているのですがね……くくく……
久秀:本能のままに奪い合えばよい。それが、世の心理……。
光秀:貴方、いいこと言いますね……
久秀:苛烈苛烈。卿とは気が合いそうだ……。
光秀:んふふふふ………
久秀:くっくっくっく………
光秀:アァァハハハハハハハハハァァァッッッッ!!!!!!
久秀:ハハハハハハ!………それで、どういう意味なのか、卿たちにはわかるかね?
政宗:お前等、異様なほど通じ合ってるように見えて、何もわかり合えてねぇんだな……
佐助:まぁ、「奪い合い」ってのは、本当だけどね。
幸村:佐助!
佐助:だってそうでしょ?綺麗事を並べて、仲良しこよししてても仕方ない。
   アンタ等だって、欲しくて来たんだろ?………おたから♪
政宗:ちっ……
元親:お宝……嗚呼、なんてイイ響き!
元就:馬鹿は気楽で良いな。
慶次:まぁ、俺はおもしろそうだから参加したクチなんだけどさ。
久秀:何か事情があるようだ。良ければ、聞かせてもらえないかな?
政宗:………。

元就:ある男の死。それが事の発端だった。
小十郞:富、名声。天下人と呼ばれるに相応しい、財力を集めた男。
元親:……の、すべてを取り仕切っていた、謎の仮面野郎。
久秀:む?
佐助:まぁ、天下人っていっても、その仮面男にイイように使われてたみたいだからね。
   本人に選択権は無かったって言うか……。
元就:実際に天下を手中に収めたという、なんとかというゴリラなど、
   今生きているのか死んでいるのかもわからぬ。
久秀:なかなかに不憫な話だな。
慶次:で、その男が死んだ。遺されるのは、莫大な土地と財産。
   受け継ぐ者は、天下を手に入れることが出来ると行っても過言ではない。
元就:ただし、その男には譲渡すべき相手がいない。かといって、国に返してしまうには
   あまりに惜しい。……そこで奴は、ちょっとした嫌がらせを思いついた。
久秀:嫌がらせ?
政宗:あいつと同等か、それ以上の力を持つ者。平たく言うなら、邪魔者の俺等を集めて、
  「誰か一人に全部やる」と言い出した。
久秀:豪気なことだな。
政宗:ただし。
久秀:……?
政宗:「僕の出したクイズが最初に解けた人だけに」。
久秀:クイズ?
佐助:謎かけってことだよね。その「おたから」を手に入れるための鍵……
   それをクイズにするから、解いた奴先着一名にその権利をあげるってさ。
政宗:で、俺等はそのくだらねぇGAMEに付き合わされるために、
   はるばるシミったれた島に赴いたってわけだ。
久秀:そうして「宝を奪い合う者同士」という図式が出来たわけだな。
   誠、苛烈。その仮面とやらには、一角の敬意を示したいものだ。
元親:冗談じゃねぇよ~……。俺、大事なコミケサボって来てんだぜ?
   これで「負けたから手ぶらで帰れ」なんて言われても納得出来ねぇよ。
   お宝は、この西海の鬼が全ていただいていくぜ!
幸村:なんの!某とて負けぬ!一番駆けは、この真田源二郎幸村にござる!
元親:ハハッ!やれるもんならやってみやがれぃ!(走)
幸村:うぉおおおおおおおおお負けぬぁあああああああああああ(走)
慶次:あ!俺も!俺も走る~!(走)
元就:何やら馬鹿どもがはしゃぎだしたぞ。
久秀:ふ………若さか。
佐助:あ~あ、広いトコに出たもんだから……。旦那ぁ~、危ないよ~。
   こんな舗装されてない田舎道じゃ、すっ転んでも知らないからね~!
幸村:転んだりせぬ!漲るぁあああああああああ(走)
元親:誰がそんなドジ踏むかよ!……って、は?へ?ほぉおおおおっっ!!!!?(転)
慶次:だっ!でっ!なんで急に止まんだよぉおおお~!(転)
幸村:ぬぉおおお!!!?某は急に止まれぬぅうあああああ~!!!!(転)
元就:馬鹿の玉突き事故が発生したぞ。
佐助:旦那ぁああっ!!!大丈夫~!!!!?(走)
幸村:むぅ……なんとか無事でござる……。
慶次:元親ぁ、急に止まるなよなぁ。
元親:い、いや。今、道端に……長い黒髪の女が……ぼぉっとこっちを見て……
幸村:!!!!!
慶次:やめろよな~。そういうのまだイイから。もうちょっと暗くなってからにしようぜ。
元親:冗談とかじゃなくてよぉ、本当に………

――「呪いよ………」

三人:うひぁああああああああああああああ!!!!!!!!!
幸村:出たぁ~!出たぁ~!出たでござるぁああああああああああ!!!!!(泣)
元親:ノウマクサマンダボタナンバクノウマクサマンダボタナンバク!!!!
   くそぉおおおお!!!!!俺のお経でも消えねぇぞこの幽霊ィイイイ!!!!!
慶次:幽れ……い?あ、あれ……?お姉さん……ひょっとして………人?
謎女:…………(頷)
幸村:某もお経、推して参る!テクマクマヤコンテクマクマヤコン……
慶次:誰に変身すんだよ!落ち着けって!普通の女の子だってば。
   ごめんね~、お姉さん。俺等、ちょっと旅行中で舞い上がってるもんだから
   妙なこと言っちゃってさ。
謎女:イイの………。全部……市の所為………。全部……市の所為なの……。
   全部……全部全部全部………全部全部全部全部全部………
三人:…………。
慶次:お、お市ちゃんってのか~。何?地元の人?
   俺たち観光で来てるんだけどさぁ、一緒にご飯の美味しい店にでも……
政宗:早速ナンパしてんじゃねぇよ(叩)。何しに来たんだてめぇは。
お市:貴方達……あの屋敷に……来たのでしょう………?あの……呪いの館に……
幸村:の………!
久秀:呪い?
小十郞:あれは、竹中の屋敷ではないのか?
お市:そう……竹中様のお屋敷………。でも……この村の人たちは………
   みんなこう呼んでるわ………。呪われし館……

――藁人形館

元親:………。あの、東京タワーにあった……
佐助:それは蝋人形館ね。
お市:あの館に足を踏み入れた者は………みんな大猩猩様の呪いにかかる……
   みぃんな……小さな小さな藁人形になって……永久にそこから出られない……
久秀:大猩猩とは……妖怪か何かかな?
お市:(微笑)……貴方達も早く帰った方がイイ……。
   大猩猩様の……呪いに触れないうちに………フフフフフ………

――屋敷
その屋敷は、まるでくる者全てを拒むかのような、
異様な空気をまとっていた。

政宗:外壁に蔦。
小十郞:ひびわれた窓硝子。
元就:軋む床。
元親:壁中に黒い染み。
慶次:転がってる日本人形。
佐助:屋根には大量の烏……と。
幸村:ほ……本当に此処に泊まるのか……?(怯)
久秀:確かに、手入れが行き届いているとは言い難い屋敷だな。
政宗:つーか、コレじゃ何も出ない方が詐欺だぜ?
元親:お、おい、明智!近所にビジネスホテルか何か無ぇのかよ!
   俺こういうトコ無理。マジで無理。
元就:…………。(突)
元親:うっっひあぁあああ!!!!!も………元就ィイイイイ!!!!!いきなり突くななぁああ!!!
元就:…………。(震)
元親:そして笑いを堪えてんじゃねぇよ!
慶次:あれ?そういや、当の光秀は何処行ったんだ?さっきまで後ろにいたよな?
政宗:案内人が行方不明……Ah~……早速第一の犠牲者が出たか?(囁)
幸村:!!!!
佐助:からかわないでよ。夜一人でトイレ行けなくなるんだから。
幸村:そ、そんなことはな……!……な………な……んぁああああああああ!!!!!
政宗:な、なんだよ!耳元でデケェ声出すな。
幸村:あ……あ……あれ……あれは……(怯)
政宗:Um……?なんだ……これ?

――頭蓋を貫く矢に、だらりと四肢を垂らしたその姿は……

久秀:藁人形のようだな。天井から紐でぶら下がっている。
   ほぅ。律儀なことに、五寸釘が貫通して居るようだな。
慶次:うっわ~……趣味悪いインテリア。
元就:(毟)
政宗:おい。当然のように毟り取るな。
元就:このような不快な物、残す意味など無いであろう。
元親:呪われたらどうすんだよ!
元就:くだらぬ……。どうせ近所の子供の悪戯……

――その時、押し殺したような笑い声が聞こえた。

幸村:な……なんなのだ……この声……(怯)
慶次:女の子……みたいだな?
元親:うぉおおおおおお超怖っぇええええええええええ!!!!!!
小十郞:政宗様、向こうに誰か居るようです。
佐助:あれ?あの子はさっきの……
慶次:お市ちゃんじゃ~ん♪何してんの?偶然だねぇ~♪
久秀:実に嬉しそうだな。
元就:色情ボケが……。
お市:フフフフフ………始まったわ………。大猩猩様の………宴が………
   真っ赤に染まった……美しい……宴が……。
政宗:宴……?
お市:奥の部屋を……覗いてみるとイイわ……。うふ……うふふふふふ………
   アッハハハハハァァアアア!!!!!(去)
佐助:誰かを彷彿とさせる笑い方だね。
政宗:奥の部屋って……此処か?別に何も……………っ!!!!!!
幸村:如何いたし…………っ!!!!
元就:これは……
元親:げぇええっ!!!!
小十郞:っ………。
佐助:うわぁ~……
慶次:こりゃあ……

頭蓋を貫く矢に、だらりと垂れた四肢。
乱れた白髪に一際映える、鮮やかな紅を滴らせて。
天井から下がる縄に吊された「それ」は、静かに揺れていた。

小十郞:明智の野郎……死んでんのか?
慶次:これが……大猩猩様の呪い……。
久秀:入るな。
慶次:……?
久秀:全員そこから一歩も動いてはいけない。
   完成された惨状は、ある種の美すら湛えていると思わんかね?
政宗:………。何をいってやがる。
久秀:そう怖い顔をするな。私はただ、現場の保存は捜査の基本だと言ってる迄だよ。
元就:貴様……四方や刑事だ等と言い出すわけではないだろうな?
慶次:呼んだ?
小十郞:そういうお約束はいらねぇんだよ。
久秀:君たちのご期待通りだ。もっとも、今は休暇中だったのだがな。
元親:嘘付け!バナナボートにまたがって流されてる警察がいるかよ!
久秀:君たちが警察にどんなイメージを抱いているのか知らないが、
   本当の警察の人間には、流されるなどよくあることだ。
佐助:アンタ、全国の警察官にあやまんなよ。
久秀:兎に角、だ。事が起きてしまった以上、ここからは私の管轄。
   一般庶民は立ち入らないでいただこう。
政宗:Shit……こんな野郎の言いなりかよ……。
久秀:さて……まずは死因の特定だな。とりあえず、ばらすので下がっていたまえ。
一同:待て待て待て
久秀:どうかしたのか?
小十郞:まずまな板をしまえ。何をする気だてめぇは。
久秀:司法解剖に決まっているだろう。卿は刑事ドラマ見たことがないのか?
慶次:そうじゃなくて!最初は状況証拠とか現場検証とか……よく知らねぇけど、
   死体見つけて、いきなり三枚におろそうとするのが間違ってるのは分かる!
久秀:しかし、これがサスペンスの醍醐味というものだろう。
元親:アンタ、サスペンスの認識間違ってるぜ。
光秀:全くです。私をおろしてイイのは、信長公だけですよ………ふふふ。

――……………………。

一同:うぉおおおおおおおおおおおお!!!!!!
久秀:なんだ。生きていたのか。
光秀:んふ………生憎と。
幸村:や……矢ぁ、刺さってるでござるよ……?(怯)
光秀:ああ……これですか。くくく……驚いたようですね……。
元就:どうせアレだ。東急ハ○ズで売っている、宴会芸用の矢であろう。
元親:カチューシャの両脇に矢がくっついてる奴か。
光秀:惜しいですね。これは蘭丸が放った矢なので、貫通しても平気なんです……
   これも私の慣れが生み出せる技………よい子は真似してはいけませんよ……?
佐助:え~と……あぁ、うん。いいや。ツッコミいれんの面倒くさい。
光秀:どうです皆さん……余興は楽しんでいただけましたか……?
久秀:余興……?
光秀:私からの、歓迎の印………ささやかなヒントとでも言いましょうか……。
   表の人形は見ていただけましたよね……?
元就:あの趣味の悪い人形のことか。
光秀:藁人形……。それこそ、この島の忌まわしい過去を象徴する物……
   そして……貴方達に与えられた「歌」の鍵となる……
政宗:「鍵」?「歌」?どういう意味だ。
光秀:まぁ……順を追って説明しますよ……順番に……ね……くくく。

――中央広間
お市:この島を納めていた領主は、その大きな体躯から大猩猩と渾名されていたの……
   心優しき領主は、家臣を愛し、民を愛していたわ……
幸村:まるでお館様のようでござるな!
佐助:しーっ。話が聞こえないでしょ。
お市:偉大なる領主には、七人の家臣が居た……皆それぞれ、力ある者達。
   領主は心から信頼していた。そして、領主は今の己の有り様に満足していた……
   しかし、時は戦国………家臣達は、より大きな富を得たいと領主に訴えたの。
   領主は家臣達を窘めたわ……生きていけるだけの財があれば、それで十分だと。
小十郞:自給自足の精神ですな。畑に生きてこそ、人は本来の姿たりえるのです。
政宗:なんか、違くねぇか……?
お市:力ある家臣達は、その言葉を受け入れることが出来なかった……
   しかし、己ひとりの力では、領主の意見を覆すことなど出来ない………
   彼らは手を組み、領主をその座から引きずり下ろしたわ……
元就:ほぅ、たいした輩ではないか。
元親:気の毒になぁ……(泣)
お市:……城は焼かれ、領主は命辛々逃げ出した。領主は信じていた民に助けを求めた。
   しかし、家臣等が新たな領主となったとき、自らに害が及ぶことをおそれた民は、
   それを拒んだの………。領主は全てに裏切られ………身を隠した……。
慶次:やるせねぇなぁ……。
久秀:面白味のない話だ。突然の話ばかりで、興味をそそられないな。
お市:家臣達は、誰が領主に収まるかで、新たな戦が始まるのを恐れた……だから
   「皆で手を取って、ともに領主となろう」と決めたの……。
政宗:共に?
久秀:ほぅ。
佐助:馬鹿だねぇ……。
お市:互いが互いを見張り……誰も裏切れない状態にすれば、
   それも上手くいくと考えたのね……。でも……そう……間違いだったの……。
慶次:何か、あったのかい?
お市:きっかけは些細なことだった……。ある家臣の城の前に……吊されていたのよ。
   頭を貫かれた……呪いの人形が……(微笑)。
光秀:これが完成形に当たります……くく。
小十郞:料理番組か。
お市:誰かが誰かの死を望んでいる……そう思ったら、全てが終わり……
   ぎりぎりの状態で保っていた家臣同士の信頼関係は……すぐさま壊れた……。
   疑いが疑いを呼び……血で血を洗う戦となった……。
   島の全てが赤く染まって……何もかもが焼け爛れ……
   残ったのは……七つの人形だけ。
幸村:に……人形……?
お市:お前がお前を呪うなら………私もお前を呪ってやろう……
   頭蓋を貫かれ……胸を貫かれ……焼かれ……折られ……沈められ……
   様々な死の有り様を湛えた……七つの人形が……それぞれの家臣の城に……。
元親:ひぇぇ……
お市:最初の人形はね……きっと大猩猩様が吊したんだと言われているわ………
   「裏切り」を誰よりも知っている大猩猩様は……些細な種を蒔くことで……
   全ての恨みを晴らしたのよ……。でも……まだ終わっていない……
   かつて己の物であった島の財も……土地も……その全てに手を出す者を……
   大猩猩様は許さない……。今もきっと……どこかで………例えば……
   ………………。
   貴方の後ろにぃいいいいぁぁああああああああああああああ!!!!!!!!!!!
元親:ぎゃああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!
幸村:ひぁああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!
慶次:うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!
佐助:……っとぉ、吃驚した……。
政宗:デケェ声出すな。みっともねぇ。
元親:お前等だって怖がってたじゃねぇかよ。
元就:貴様等の阿呆さ加減に驚いただけだ。
慶次:はぁ~まだバクバクいってら……お市ちゃん、怪談うまいねぇ……(苦笑)
お市:怪談じゃないわ……全部……本当の話……。全部……全部……
   全部全部全部……全部全部全部全部…………。
一同:………。
佐助:と、ところでさぁ、お市ちゃんはなんでそんな話してくれるの?
元就:そうだ。女、貴様は無関係の人間であろう。何故ここに居る。
慶次:そんな言い方しなくてもいいだろ。この島に住んでるのかい?
お市:……(頷)市は……此処のこと………よく知ってるから……
   実はね……お客さんのお世話を……頼まれたの……
慶次:へ?ってことは……
元親:メイドだ。
政宗:Ah?
元親:大きな屋敷のお世話係って言ったら?
慶次:おぉ!成る程、メイドさんに他ならないな!
佐助:そうなの?
お市:うん………アルバイトだけど。
二人:ひやっほぉぉう!!!!
元親:生メイド♪
慶次:生メイド♪
元就:歌うな!鬱陶しい!
政宗:呆れて何も言えねぇ……。
佐助:そう?俺様も結構嬉しいけどな~メイドさん♪
幸村:破廉恥きわまりない!
光秀:何ですかねぇ……この盛り上がり様は。私だって生メイドですよ……?
   私の時は、ちっとも盛り上がらなかったじゃないですか………。
久秀:衣装の違いではないか?
光秀:ああ、成る程………では早速、エプロンドレスに着替えて……
小十郞:イイから、てめぇは大人しく座ってろ。あと、早く矢抜け。
    アンタも余計な入れ知恵すんじゃねぇよ。
久秀:ふむ。ある種の迫力を期待したのだが……まぁイイ。
   話を続けてもらおうか。
お市:市はこんな「奪い合い」……やめた方がいいと思うから、忠告したんだけど……。
   みんな聞いてくれないものね………。
一同:………。
お市:鍵……配ります。
政宗:「鍵」?
お市:部屋の鍵。七つ、あるわ。テーブルに並べるから、好きなのを取って。
元就:ふむ。(取)
慶次:ちょっと待った!
元就:何事だ……(苛)
慶次:七つじゃ、足りなくねぇか?
お市:市達は……別の部屋があるし………ちゃんとお客さんの人数分……有る筈よ……?
政宗:俺、小十郞、幸村。
幸村:佐助、慶次殿、元親殿、元就殿………あ!
元就:此奴が増えていたか……。
久秀:何をもめているのか知らないが、選ばないのなら先に取らせてもらうぞ(取)
元親:あ、てめ!助けてやったのに図々しく一号室を……
お市:市、どうしたら……。部屋……もう、無いのに……
佐助:あ。じゃあ俺、旦那と同室でイイや。
お市:……………イイの……?
佐助:うん。仕事柄、床だろうが何処だろうが寝られますから。いいよね?
幸村:うむ!
政宗:決まったな。二号室貰うぜ。
小十郞:では私は三を。
元親:俺は……六。
慶次:まぁどれでもいいや。俺、四な。
元就:………五。………。
幸村:どうしたのだ元就殿?
元就:女。確かこの建物は、西館と東館に分かれていたな。
お市:うん………。この大広間を挟んで、一から四は西館。五から七と、従業員用が東館。
元就:前田、交換しろ。
慶次:へ?なんで?
元親:この野郎……そんなに俺と同じ館にいるのが嫌か……。
佐助:まぁまぁ(苦笑)。オクラの旦那が四ね。鬼の旦那が六ってことは……
   俺等は七号室か。
幸村:ラッキーセブンでござるな♪
光秀:さて、部屋割りが決まったところで次へ移りますよ……。
   皆さんお待ちかね………「おたから」を手に入れる条件である……
   謎、の発表です……。
一同:………。
光秀:では、私が「主」から預かっている、ビデオを上映するとしましょう……

ビデオ:やぁ、みんなお待ちかね、竹中半兵衛だよ。今日も輝き過ぎちゃって御免ね♪
一同:………。
元就:(停止)むかつく。
慶次:き、気持ちは分かるけどさ。これ見ないと話始まらないから(再生)
ビデオ:停止ボタンを思わず押した、そこの君。いくら僕が美しいからって、
    嫉妬する男は大成しないよ?まぁ、仕方のないことだけどね(微笑)
元就:………。
元親:分かる!気持ちは分かるが、テレビを蹴り壊そうとすんな!
ビデオ:さてと。遺産の話だったね。秀吉の……っていうか、僕の物だけど。
    自力じゃ天下なんて取れそうもない、下級の君たちにもチャンスを
    あげようって事で、僕がこの「遺産あげます計画」を考えたんだ。
    題して!「プレッシャースタディ学力クイズ」だよ!
小十郞:どこかで聞いたようなタイトルだな。
政宗:心の底から帰りてぇ……。
ビデオ:今、心の底から帰りたいと思ったそこの君。
政宗:Ah……?
ビデオ:窓から、表を見てご覧。
政宗:表……?………なっ!
元就:……!
慶次:うっそ……。
幸村:橋が……。
ビデオ:時限式の発火装置で、君たちが此処に到着した後
    焼け落ちるようにしておいたんだ。
    この屋敷は、明日菜島からさらに離れ小島の場所に建っていて、
    橋がなければ出られない。周囲は断崖絶壁、その下は海。
    さぁ、コレで逃げ場はないよ。強制参加決定おめでとう。
政宗:………野郎。
佐助:死んで尚、傍迷惑な奴だね。
ビデオ:安心してくれ。三日後には外部の人間がやってくることになっている。
    橋が落ちているのを見たら、救助なりなんなりしてくれる筈さ。
    その代わり、その三日を過ぎたら、この屋敷も焼け落ちる。
    つまり、三日以内に謎を解かないと永遠にお宝は手に入らないって事。了解?
小十郞:ちっ……。
久秀:苛烈苛烈……。見事な段取りだな。
ビデオ:謎と言っても、簡単だよ。今、君たちの座ってる大広間のテーブル。
    その前に、小さな祭壇が見えるだろう?
元親:ああ、これか。
ビデオ:それに、謎の答えとなる物を探し出して、供えればいい。
    それが鍵の役割をして、祭壇の奥の扉が開く。そこに、全ての権利書がある
    って寸法さ。手が込んでいるだろう?
    さて……ではいよいよ本題の謎だよ。秀吉、準備できた?
ビデオ:ま、待て半兵衛。まだマイクのセットが……
ビデオ:ああ、もう何でもイイよ。適当に歌って。
政宗:歌うのかよ。

――
♪みんなの大事な龍神様 穴の深くに閉じこめられて
泣いても泣いても出られない
助けてあげよと覗いても 七つの立派なお人形たちが
邪魔して邪魔して通れない

七つの首を集めましょ 並べて並べて捧げましょ
みんなの大事な龍神様 とってもとっても喜んで
玉を褒美にくれました
――

元就:意外と美声だったな。
佐助:カラオケで声が変わるタイプだったんだね……。
ビデオ:これはこのあたりに伝わる童歌なんだけど……少々編曲はしてあるよ。
    さて、これがどういう意味か分かるかな?ゲームスタートだよ♪

 

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