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戦国BASARAの二次創作文。 政宗、幸村、佐助、元親、元就が中心。 日々くだらない会話をしてます。
Posted by - 2025.02.02,Sun
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Posted by 今元絢 - 2008.10.23,Thu
――企画部屋より転載。
   佐助分。暗め。

――だから、行くなと言ったのに

地に突き立った、紅蓮の槍。
変色した柄は、明々と光る夕日の色すら飲み込んで、黒く。

佐助:ほんと、馬鹿だよねぇ。

人の言うことを聞かないから。
ほら、こんな棒きれみたいな姿になって。

佐助:呆れて何にも言えないわ。

見上げた空は、夕日の紅を吸い込んで、
憎らしいほどに美しかった。


――

政宗:何の用だ。

振り返ることすらせずに、低く呟く。
戦装束はまだ解いて居らず、刃も未だその腰にある。それに手を掛ける素振りはない。
妙な動きを見せれば、直ぐに此方の首を落とすだけの自信があるのだろう。
此処へ辿り着くまでに、いくつか「邪魔なもの」を斬り捨ててきた。
其れが流した、鼻を突く匂いに、気付かぬ訳では無かろうに。
小馬鹿にするように目を細め、視線だけを向けてくる。

政宗:まさかとは思うが……忍のお前が、主の仇討ちに来たとでも?

その言葉に、思わずくすりと笑みが漏れた。
相手は何が可笑しいとでも言いたげに、眉を顰める。

佐助:ねぇ、竜の旦那。

顔を上げ、笑みを浮かべたまま、見据える。

佐助:頼むからさぁ………アンタ、無くなってくれない?

殺してやりたいとは思わない。
死して、あの人の傍に逝くなど以ての外だ。
消してしまいたい。此の世からも、あの世からも。
初めからその存在など、無かったことにすればいい。

――そうすればきっと

政宗:笑い話にもならねぇな。

漸く此方を振り返ったその顔には、嘲るような笑みが浮かんでいる。
自分の表情と何処か似ている気がして、嫌だなと、思った。

政宗:忍の本懐に従って、とっとと里山にでも帰ったらどうだ。
   大将討ち取られたアイツが、俺に挑みに来るは道理。
   それに手前を従えなかったって事は……あとは好きに生きろってことだろ?
佐助:………ま、そういうことなんだろうねぇ。
   アンタに言われると、すっごい不愉快だけど。

刃を軽く持ち上げ、手甲でその表面を撫でる。
絡み付いていた紅が、ほんの少し、床に溢れた。

佐助:主を既に亡き者と思うなら、さっさと退散するべき。
   主が命に従おうと思うなら、尚のこと何処ぞへ身を隠すべき。
   そんなこと俺だって、百も承知だよ。

己が師を失い、宿願を失い。
自らの信念さえも瓦解しそうな中において、
主が進むべき道を違えずにいたのは、
主が己を失わずに居れたのは、
挑むべき相手が居たからなのだと。

佐助:アンタとの勝負が、どんな意味を持っていたのかも、知ってる。

好敵手。そんな言葉で片付けられないような何かが、其処にあるのだと。
其れに横やりを入れるのは、野暮無粋以外の何物でもないということも。
其処に、自分の出る幕など、無いことも。

佐助:だから……

だから、其の手を、離した。行かせてくれと言う、其の命に従った。
己を殺すことには慣れていた。いつものように、何も考えなければよい。
ただひとつの、道具となれば、物となれば、それで良い。

佐助:………。………でもさぁ、旦那。

――俺は、「意味」の一欠片にもなれないの?

ずっと、昔の話。覚えてないって言われれば、それまでだけど。

――なんで?つよくなりたいの?

なんとなくした質問に、面食らったような顔をして。
確かな答が出せなくて。ずっと悩んで、唸って。
慌ててこっちが宥め賺そうとしても、答えてみせると聞かなくて。
ある時、答が出たと言ってきた。

――お前に、「本当」を言わせてやる。

何を言い出すんだと思っていると、此方を指さし自慢気に続けた。
お前は嘘ばかりつくと。誤魔化してばかりだと。
主だから、忍だからと、身分を言い訳にして、
此方がどんなに強請っても、自分に対する「本当」を言うてくれたことがないと。

――ならば、身分など無くしてやる。

お館様が天下を収めれば、きっと太平の世となろう。
だから、お前が殺してきた己を、己の言葉を、全て言わせてやる。

悪戯を企んでいるときのような表情で。期待と希望に溢れた目で。
己の手をもげそうな勢いでぐいぐいと引き、何やらはしゃぐ主を宥めるのに、
随分と苦労した記憶がある。

佐助:そう……言ってくれたのにさぁ。

手を、目の高さに掲げてみる。
紅と黒とが入り交じった、何とも汚い色だった。

佐助:なんで俺……離しちゃったんだろ?

命令だった、帰ってくると思った等と言い訳を並べたところで、
負ける勝負に送り出したは、己のこの手だ。

佐助:結局俺が……死なせちゃったんだなぁ。

そう呟くと、其れまで黙っていた竜が僅かに進み出た。
六爪を抜き、すと其れを掲げてみせる。

政宗:勝手なことを抜かすな。アイツを斬ったのはこの俺だ。
   この勝負とは「無関係」のお前に、手柄を取られる筋合いはねぇ。

視線を向けると、不機嫌な表情が其処にあった。
だが、此方の内面を読んでもいるようで、それが酷く腹立たしいと、感じた。

政宗:どうせ帰れと言っても聞く気は無ぇんだろ。とっとと始めようぜ、忍。

灯火を吸って閃くその刃に、何故か少し、心が躍った。

佐助:そうだねぇ。

不意に、竜の背後が明々と照らし出された。
それは、己が幾度も魅入られた、炎の灯。
竜は振り返って目を見張る。目の前の光景が、信じられぬとでも言うように。
何を、取り乱しているのだろう。たかが――己の従者の棟を焼かれたくらいで。

――炎はこんなにも「綺麗」なのに。

佐助:………。
政宗:っ!!!

その首筋を裂こうとしていた刃を、竜の爪は寸手で阻んだ。
薄く破れた皮の隙間から、つと、細い紅が流れ落ちる。

佐助:ねぇ、竜の旦那。アンタ……無くなってよ。

戦も、約束も、離したことも、この存在も。
全部、最初から無かったことにしよう。

佐助:そうすれば、きっと……


――かえってきて、くれるから。

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