戦国BASARAの二次創作文。
政宗、幸村、佐助、元親、元就が中心。
日々くだらない会話をしてます。
Posted by 今元絢 - 2008.09.11,Thu
――企画部屋より転載。
アンケート一位、筆頭分。
暗めばーじょん。
アンケート一位、筆頭分。
暗めばーじょん。
花が、咲き乱れていた。
渡る鶯の声に、長閑な、春の訪れを感じる。
――機は熟した。
一切の作戦評定も済み、各部隊の戦備も整っている。
傍らには先人を務める伊達藤五郎成実、国元一と称される槍の使い手岡野助左衛門を従え、
それは堂々たる初陣であったと言えよう。
政宗:うちの軍は……四万五千だったか?
小十郎:四万三千七百にて。敵勢は約二万。数の上では勝っております。
成実:なんだ、楽勝じゃねぇか。やっと初陣だってのに、つまんねぇなぁ。
政宗:………。
成実:どーした梵?まさか「初めてだから緊張します」なんて言うんじゃねぇだろうな?
とっとと行って、捻り潰してやろうぜ。
政宗:……小十郎。
小十郎:はっ。
政宗:動かすのは……そうだな、精々一万五千だ。人選はお前に任せる。
小十郎:なっ……いくらなんでもそれは……。敵が二万全てで押し出てきたら、
圧倒的に不利ではありませぬか。
政宗:そうなれば敵の本拠は空だ。一挙に攻め入る。
小十郎:我が軍の本陣を守る者達はどうなります!?精鋭部隊の居ない状況で、
本陣を守り通すのは至難の業かと……
政宗:敵の本拠を奪ったところで、精鋭部隊が引き返すとなれば、敵は雲散霧消。
其れまでの間持たせることも出来ないようなら、最初から必要無ぇ。
何より、動かす数が少なければ………節約になる。
小十郎:は……?節約………?
政宗:余分な軍勢を動かさなければ、余分な軍備も掛からねぇ。
余分な年貢を取り立てる必要もなければ、余分に泣く奴も減る。
単純な計算だ。
小十郎:………。
政宗:行くぞ。敵は数の上で勝っている。派手な戦になりそうだぜ。
成実:そうこなくっちゃあ!くぅ~っ、ぞくぞくするぜぇっ!
確実な、手段を。
実に淡々と選び取っていく。微かな迷いも見せることなく。
命を削り合う戦場こそ、自らの生場所であると。
成実:なぁ梵~……。
政宗:黙って歩け。
成実:歩いてるよ。……なんかさぁ……遅くねぇ?
政宗:遅い?
成実:あっちの隊の奴等。なんだから知らねぇが、ちんたらちんたら。
こんな調子で進軍してちゃ、敵とぶつかる前に日が暮れちまうよ。
武将:申し上げます!
成実:うぉ、吃驚した……。なんだよ爺さん。
小十郎:立花か。どうした。
武将:わ、若殿に……申し上げたき儀がございます故、無礼を承知で参りました。
どうか……どうかこの私めに………暇を下さいませ!
政宗:Ah……?暇……?
成実:クビにしてくれ、ってことだろ?
小十郎:何があった、立花。貴様……四方や政宗殿の采配が不満だ等と
言うのでは無かろうな!
武将:滅相もない!私はただ……ただ……恐ろしいのでございます。
政宗:恐ろしい?
小十郎:馬鹿を言うな。お前は中備えの主力。数多の敵を薙ぎ払い、
伊達の戦を支えてきた武将であろう。そのお前が恐れを成したなど……
武将:誠でございます!
小十郎:っ………。
政宗:訳を、話せ。
武将:……。……私は、死を恐れたことなどございません。幾度戦場に立っても、
ただ目の前の敵を斬り、戦果を上げることのみを考え、己の生き死になど、
考えようともしなかった。しかし……それは誤りでございました。
政宗:……。
武将:考えようとしなかったのではない。見えていなかったのです。
あまりに簡単に消えていく、目の前の、そして今、己が辛うじて手にしている
「生」というものが。
成実:……けっ。
武将:日に日に老いを重ね、死へと近づいていく今になって、それが見えてしまった
のでございます。……散りゆく桜の姿を、こればで「華やか」と思いこそすれ、
春を愛でることすら忘れていたと言うに。……そこに「死」を見て、
恐ろしくて恐ろしくてたまらなくなったのでございます……。
錆びた具足の周囲を舞う花弁は、あまりに美しく――
武将:どうか……どうかこの愚か者めに、永久の暇を……。
政宗:………。そうか。なら、お前にもう用は無ぇ。
武将:……。
ゆっくりと、腰元の刀に手を掛ける。
武将は動く素振りすら見せず、涙を流しながら身を固くして……。
政宗:……。持って行け。
武将:………は……。
政宗:初陣の祝いにと、親に持たされた物だ。飾りばっかりで役に立ちやしねぇ代物だが、
まぁそれなりの価値はあるだろ。形見にくれてやる。
武将:……あ……あぁ……
政宗:よく務めてくれた。あとは手前の為に生きろ。……行くぞ、小十郎。
小十郎:……!は……。政宗様……よろしいのですか?
政宗:何がだ。
小十郎:あのような者を許しては、兵が乱れます。戦場に赴いてまで起きながら、
臆病風に吹かれた等と……
政宗:爺さん一人病欠したくらいでぶれるようじゃ、元々ろくな軍じゃねぇんだよ。
ガタガタ言わずに、先を急ぐぜ。
成実:ったく、梵は甘いんだからよぉ~。俺なら「馬っ鹿じゃねぇの」って、
さっくり行っちゃうね。
政宗:お前が短絡的過ぎるんだよ。春を愛でる、結構なことじゃねぇか。
他人の喉笛切り裂いて嬉々としてる奴等より、余程人間らしい。
成実:けどよぉ……
政宗:成実。戦ってのは、人間同士の啀み合いだ。数、武具、天候、地形。
全てを味方に付けても、人間を酌みきれなければ、待っているのは敗北だ。
死を恐れるは臆病者。だが、生を忘れたものに勝利はない。
成実:……。
小十郎:……ご立派なお考えです。禅師様の教えですな。
成実:へ?あ?なんだよ、受け売りかよぉ~。
政宗:馬鹿、小十郎!ばらすんじゃねぇよ!兎に角!俺の決めたことだ。異存は無ぇな。
小十郎:無論。
成実:おし。んじゃあこっからは、気合い入れて駆け足で……って、おい爺さん!
何してんだよお前!
小十郎:立花!何をしている、刀を収めろ!
武将:死なせて……死なせてくださりませ!
政宗:何してやがる!お前には、望み通り暇を……
武将:お許し下され若殿! 我が身可愛さに、貴方様の志に目を背けたこの罪を!
このような温情を向けられながら、忠義に背いた不実を!
死んで……死んで償いまする!
政宗:待て、立花!小十郎、成実、そいつを押さえろ!
小十郎:御意。
成実:おら、暴れんなよ、爺さん!
武将:死なせてくだされ………死なせてくだされ……
政宗:……腹斬らせるくらいなら、誰が暇なんてやるかってんだよ……。
お前は何も分かって……。………。
小十郎:………政宗様?
政宗:否……。分かってねぇのは、俺の方だな。
……Ha.どうも、そう簡単に酌みきれるものでも無ぇらしい。
小十郎:………。
政宗:立花、死ぬことは許さねぇ。死ぬ位なら付いてきて、手柄の一つでもあげて見せろ。
武将:………。
実に、淡々と、戦場を読みながら。
そこに在るのは「人」であると、知っている。
泣きもすれば、笑いもするものであると、知っている。
知りすぎている程に。
小十郎:来ましたぞ、政宗様。
政宗:さぁ……ここからが本物のPartyって奴だぜ……。
先陣は頼むぜ、成実。
成実:任せなぁ!……流石は本物の戦場。骨の在りそうな奴がごろごろいるなぁ♪
あらよっとぉっ!
小十郎:おい……お前、なんで目を閉じてやがる。ふざけてんのか。
成実:だってよぉ、あんまり早く勝っちまっちゃあ面白くねぇもん。
折角の戦を楽しまない手は無ぇだろ?
政宗:大した外道だぜ。ま、この馬鹿が切り開いて、後を小十郎が固めりゃ……
此処は明晩には片が付くだろ。そこから籠城に持ち込まれたとしても、
さほどの日は掛からねぇ。ま、精々暴れな。
言葉通り、敵の城を包囲し陥落させるまでに、さしたる時間は掛からなかった。
伊達勢には意気まさに天を突くの概があった。
敵勢はただ惑うばかりで、本拠をいつ落とされてもおかしくない状況だった。
小十郎:先も見えましたな。総大将の首級を差し出すという申し入れが入っております。
政宗:そうか。……こっちの損害は?
小十郎:数としては以前より格段に少ない被害となっております。ただし、
有力な武将も失いました。原田と………立花を。
政宗:あの爺さん……死んだのか。
小十郎:はい。
政宗:………。………そうか。……小十郎、引き上げるぞ。
小十郎:……は。よろしいのですか?此処で打ち切らずとも、
相馬を討ち取る機であるかと……。
政宗:戦が長引けばどうなる。
小十郎:……は?
政宗:秋口まで掛かるのは目に見えてる。……これだけの花を血風に染めたんだ。
穂波まで、染めることもねぇだろ?
手塩に掛け育てた黄金の穂波が其処に在ろうと、
戦は容赦なく其れを踏み荒らし、焼き払っていく。
そうなれば、農民達の嘆きは如何ほどか。
政宗:お前なら、よく分かるんじゃねぇのか?
小十郎:は、はぁ……。
その戦ぶりは、まさに竜。
敵陣を引き裂き、容赦なく食らい付くす。
成実:お~い、梵~。いつまで待たせんだよぉ。俺、もう飽きた~!
政宗:餓鬼くせぇこと行ってねぇで、とっとと帰り仕度しろ。
成実:へ~い……って、帰んのかよっ!?やだやだぁ~!もっと戦する~!
政宗:いい歳こいて駄々をこねんな気色悪い!
成実:俺まだ子供だも~ん。梵より年下だも~ん。
政宗:都合のいいときだけ子供ぶるな。
成実:痛っ!殴ることねぇだろぉ~。
だが、その隻眼に映るのは、「人間」の姿。
それすら飲み込んで、戦場を駆けようとする背は、
何処か、哀しく。
政宗:帰るぞ。小十郎。
小十郎:はっ!
――護ろうと、誓った。
渡る鶯の声に、長閑な、春の訪れを感じる。
――機は熟した。
一切の作戦評定も済み、各部隊の戦備も整っている。
傍らには先人を務める伊達藤五郎成実、国元一と称される槍の使い手岡野助左衛門を従え、
それは堂々たる初陣であったと言えよう。
政宗:うちの軍は……四万五千だったか?
小十郎:四万三千七百にて。敵勢は約二万。数の上では勝っております。
成実:なんだ、楽勝じゃねぇか。やっと初陣だってのに、つまんねぇなぁ。
政宗:………。
成実:どーした梵?まさか「初めてだから緊張します」なんて言うんじゃねぇだろうな?
とっとと行って、捻り潰してやろうぜ。
政宗:……小十郎。
小十郎:はっ。
政宗:動かすのは……そうだな、精々一万五千だ。人選はお前に任せる。
小十郎:なっ……いくらなんでもそれは……。敵が二万全てで押し出てきたら、
圧倒的に不利ではありませぬか。
政宗:そうなれば敵の本拠は空だ。一挙に攻め入る。
小十郎:我が軍の本陣を守る者達はどうなります!?精鋭部隊の居ない状況で、
本陣を守り通すのは至難の業かと……
政宗:敵の本拠を奪ったところで、精鋭部隊が引き返すとなれば、敵は雲散霧消。
其れまでの間持たせることも出来ないようなら、最初から必要無ぇ。
何より、動かす数が少なければ………節約になる。
小十郎:は……?節約………?
政宗:余分な軍勢を動かさなければ、余分な軍備も掛からねぇ。
余分な年貢を取り立てる必要もなければ、余分に泣く奴も減る。
単純な計算だ。
小十郎:………。
政宗:行くぞ。敵は数の上で勝っている。派手な戦になりそうだぜ。
成実:そうこなくっちゃあ!くぅ~っ、ぞくぞくするぜぇっ!
確実な、手段を。
実に淡々と選び取っていく。微かな迷いも見せることなく。
命を削り合う戦場こそ、自らの生場所であると。
成実:なぁ梵~……。
政宗:黙って歩け。
成実:歩いてるよ。……なんかさぁ……遅くねぇ?
政宗:遅い?
成実:あっちの隊の奴等。なんだから知らねぇが、ちんたらちんたら。
こんな調子で進軍してちゃ、敵とぶつかる前に日が暮れちまうよ。
武将:申し上げます!
成実:うぉ、吃驚した……。なんだよ爺さん。
小十郎:立花か。どうした。
武将:わ、若殿に……申し上げたき儀がございます故、無礼を承知で参りました。
どうか……どうかこの私めに………暇を下さいませ!
政宗:Ah……?暇……?
成実:クビにしてくれ、ってことだろ?
小十郎:何があった、立花。貴様……四方や政宗殿の采配が不満だ等と
言うのでは無かろうな!
武将:滅相もない!私はただ……ただ……恐ろしいのでございます。
政宗:恐ろしい?
小十郎:馬鹿を言うな。お前は中備えの主力。数多の敵を薙ぎ払い、
伊達の戦を支えてきた武将であろう。そのお前が恐れを成したなど……
武将:誠でございます!
小十郎:っ………。
政宗:訳を、話せ。
武将:……。……私は、死を恐れたことなどございません。幾度戦場に立っても、
ただ目の前の敵を斬り、戦果を上げることのみを考え、己の生き死になど、
考えようともしなかった。しかし……それは誤りでございました。
政宗:……。
武将:考えようとしなかったのではない。見えていなかったのです。
あまりに簡単に消えていく、目の前の、そして今、己が辛うじて手にしている
「生」というものが。
成実:……けっ。
武将:日に日に老いを重ね、死へと近づいていく今になって、それが見えてしまった
のでございます。……散りゆく桜の姿を、こればで「華やか」と思いこそすれ、
春を愛でることすら忘れていたと言うに。……そこに「死」を見て、
恐ろしくて恐ろしくてたまらなくなったのでございます……。
錆びた具足の周囲を舞う花弁は、あまりに美しく――
武将:どうか……どうかこの愚か者めに、永久の暇を……。
政宗:………。そうか。なら、お前にもう用は無ぇ。
武将:……。
ゆっくりと、腰元の刀に手を掛ける。
武将は動く素振りすら見せず、涙を流しながら身を固くして……。
政宗:……。持って行け。
武将:………は……。
政宗:初陣の祝いにと、親に持たされた物だ。飾りばっかりで役に立ちやしねぇ代物だが、
まぁそれなりの価値はあるだろ。形見にくれてやる。
武将:……あ……あぁ……
政宗:よく務めてくれた。あとは手前の為に生きろ。……行くぞ、小十郎。
小十郎:……!は……。政宗様……よろしいのですか?
政宗:何がだ。
小十郎:あのような者を許しては、兵が乱れます。戦場に赴いてまで起きながら、
臆病風に吹かれた等と……
政宗:爺さん一人病欠したくらいでぶれるようじゃ、元々ろくな軍じゃねぇんだよ。
ガタガタ言わずに、先を急ぐぜ。
成実:ったく、梵は甘いんだからよぉ~。俺なら「馬っ鹿じゃねぇの」って、
さっくり行っちゃうね。
政宗:お前が短絡的過ぎるんだよ。春を愛でる、結構なことじゃねぇか。
他人の喉笛切り裂いて嬉々としてる奴等より、余程人間らしい。
成実:けどよぉ……
政宗:成実。戦ってのは、人間同士の啀み合いだ。数、武具、天候、地形。
全てを味方に付けても、人間を酌みきれなければ、待っているのは敗北だ。
死を恐れるは臆病者。だが、生を忘れたものに勝利はない。
成実:……。
小十郎:……ご立派なお考えです。禅師様の教えですな。
成実:へ?あ?なんだよ、受け売りかよぉ~。
政宗:馬鹿、小十郎!ばらすんじゃねぇよ!兎に角!俺の決めたことだ。異存は無ぇな。
小十郎:無論。
成実:おし。んじゃあこっからは、気合い入れて駆け足で……って、おい爺さん!
何してんだよお前!
小十郎:立花!何をしている、刀を収めろ!
武将:死なせて……死なせてくださりませ!
政宗:何してやがる!お前には、望み通り暇を……
武将:お許し下され若殿! 我が身可愛さに、貴方様の志に目を背けたこの罪を!
このような温情を向けられながら、忠義に背いた不実を!
死んで……死んで償いまする!
政宗:待て、立花!小十郎、成実、そいつを押さえろ!
小十郎:御意。
成実:おら、暴れんなよ、爺さん!
武将:死なせてくだされ………死なせてくだされ……
政宗:……腹斬らせるくらいなら、誰が暇なんてやるかってんだよ……。
お前は何も分かって……。………。
小十郎:………政宗様?
政宗:否……。分かってねぇのは、俺の方だな。
……Ha.どうも、そう簡単に酌みきれるものでも無ぇらしい。
小十郎:………。
政宗:立花、死ぬことは許さねぇ。死ぬ位なら付いてきて、手柄の一つでもあげて見せろ。
武将:………。
実に、淡々と、戦場を読みながら。
そこに在るのは「人」であると、知っている。
泣きもすれば、笑いもするものであると、知っている。
知りすぎている程に。
小十郎:来ましたぞ、政宗様。
政宗:さぁ……ここからが本物のPartyって奴だぜ……。
先陣は頼むぜ、成実。
成実:任せなぁ!……流石は本物の戦場。骨の在りそうな奴がごろごろいるなぁ♪
あらよっとぉっ!
小十郎:おい……お前、なんで目を閉じてやがる。ふざけてんのか。
成実:だってよぉ、あんまり早く勝っちまっちゃあ面白くねぇもん。
折角の戦を楽しまない手は無ぇだろ?
政宗:大した外道だぜ。ま、この馬鹿が切り開いて、後を小十郎が固めりゃ……
此処は明晩には片が付くだろ。そこから籠城に持ち込まれたとしても、
さほどの日は掛からねぇ。ま、精々暴れな。
言葉通り、敵の城を包囲し陥落させるまでに、さしたる時間は掛からなかった。
伊達勢には意気まさに天を突くの概があった。
敵勢はただ惑うばかりで、本拠をいつ落とされてもおかしくない状況だった。
小十郎:先も見えましたな。総大将の首級を差し出すという申し入れが入っております。
政宗:そうか。……こっちの損害は?
小十郎:数としては以前より格段に少ない被害となっております。ただし、
有力な武将も失いました。原田と………立花を。
政宗:あの爺さん……死んだのか。
小十郎:はい。
政宗:………。………そうか。……小十郎、引き上げるぞ。
小十郎:……は。よろしいのですか?此処で打ち切らずとも、
相馬を討ち取る機であるかと……。
政宗:戦が長引けばどうなる。
小十郎:……は?
政宗:秋口まで掛かるのは目に見えてる。……これだけの花を血風に染めたんだ。
穂波まで、染めることもねぇだろ?
手塩に掛け育てた黄金の穂波が其処に在ろうと、
戦は容赦なく其れを踏み荒らし、焼き払っていく。
そうなれば、農民達の嘆きは如何ほどか。
政宗:お前なら、よく分かるんじゃねぇのか?
小十郎:は、はぁ……。
その戦ぶりは、まさに竜。
敵陣を引き裂き、容赦なく食らい付くす。
成実:お~い、梵~。いつまで待たせんだよぉ。俺、もう飽きた~!
政宗:餓鬼くせぇこと行ってねぇで、とっとと帰り仕度しろ。
成実:へ~い……って、帰んのかよっ!?やだやだぁ~!もっと戦する~!
政宗:いい歳こいて駄々をこねんな気色悪い!
成実:俺まだ子供だも~ん。梵より年下だも~ん。
政宗:都合のいいときだけ子供ぶるな。
成実:痛っ!殴ることねぇだろぉ~。
だが、その隻眼に映るのは、「人間」の姿。
それすら飲み込んで、戦場を駆けようとする背は、
何処か、哀しく。
政宗:帰るぞ。小十郎。
小十郎:はっ!
――護ろうと、誓った。
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