政宗:お前が一人でうちに来るなんて、珍しいな。
元就:この時期は、寒さで効率が悪くなるため仕事が少ない。
こういうときは、長曾我部が暇に任せて押しかけてくるのだ。五月蠅くて敵わぬ。
政宗:いいじゃねぇかよ、構ってやりゃあ。
元就:ぞろぞろと部下を引き連れてくるのだぞ?人のうちで散々騒いだ挙げ句、
大福で事を済ませようとするのだ。けしからん。
政宗:大福で済んじまうことが分かってんだろうな……
元就:何というか奴は……そう、「うざい」のだ。
政宗:何処で覚えてきたんだよ、んな単語……。ま、ゆっくりしてけよ。
おい小十郎、茶ぁ頼む。
小十郎:心得ました。ここのところ寒くなりましたし、汁粉でも作りましょうか。
政宗:お、そいつぁいいな。元就も食うだろ?
元就:粒あん……
政宗:食うってよ。
小十郎:少々お待ちを。(去)
元就:……しかし、奥州は寒いな。火鉢の前から動く気がせぬわ……
政宗:猫じゃねぇんだから、んな所で丸まってんじゃねぇよ、年寄り臭ぇな(笑)
元就:寒い物は寒いのだ……仕方なかろう。一面の銀世界とはこのことだな。
これでもかという位、雪が降り積もって居るではないか。
政宗:まぁそういう土地だしな。お前の国は、雪降らねぇのか?
元就:降るところも多いが、なるべく冬は暖かい地方に居るようにしておる。
政宗:渡り鳥みてぇな奴だな。越冬燕を見習え、越冬燕を。雪も悪くねぇぜ?
降り積もる様を見てると、音が消えたような気になる。静かで、イイ物だ。
元就:まぁ美しいと思わぬ訳ではないが……我はやはり日輪の方が良い。
雪が降って喜ぶのは、犬と子供だけだ。
元親:(すぱーん)雪だぜ雪ぃいいいいい!!!!
幸村:雪遊びにきたでござるぅううううう!!!
政宗:……。
元就:……。
佐助:あ~あ、襖吹っ飛ばして。ちゃんと直しなよ。あ、竜の旦那、お邪魔しま~す。
政宗:………犬と子供、か。
元就:騒々しい……。
元親:見ろよ幸村!雪だぜ雪ぃ!
幸村:うぉおおおおお!!!!!ふわっふわでござる~♪
政宗:人ん家の庭破壊する勢いではしゃいでるけどよぉ……お前等、寒くねぇのか?
元親:寒……い……?………寒っ!
幸村:言われてみれば猛烈に寒いでござるぅぅううう!!!
政宗:気付くの遅っ!
佐助:腹出しっ放しの普段着じゃ、寒いに決まってんでしょうが。ほら旦那、これ着て。
帽子、手袋、わら靴、用意してきたから全部装着なさい。
幸村:あったかいでござる~♪
元親:ざざざざむい……元就ぃ~……
元就:我が貴様の着物など用意しているわけが無かろう。
元親:うぁぁあぁぁ………凍え死ぬ……
政宗:ったく……、うちの着物使え。んな恰好じゃ、見てるこっちが寒々しい。
元親:へへ、悪ぃな♪いや~、うちじゃ滅多に雪なんか降らないからよぉ。
幸村んとこへ遊びに行って話してるうちに、そういや奥州なら雪が
ごまんとあるじゃねぇかって話になってな。
政宗:成る程。ってことはお前は、元就の所じゃなく、甲斐に行ってたってことか。
元親:まぁ遊び相手なんざその日の気分だからよぉ。それがどうかしたのか?
元就:……。
元親:なんでむくれてんだよ?
元就:貴様、二度と我が領内の土を踏めると思うな!
元親:は、はぁ!?俺なんかした!?
佐助:オクラの旦那、何怒ってんの?
政宗:取り越し苦労というか期待はずれというか照れ隠しというか……
ま、あいつなりに複雑な心情抱えてんのさ。
佐助:なんかよく分からないけど……
政宗:それはそうと、お前等の国は甲斐だろ?雪だって結構なもんじゃねぇのか?
佐助:その筈なんだけど、な~んかうちの近所ってあんま積もらないんだよね。
政宗:極端に暑苦しい人間が多いせいじゃねぇか……?
幸村:見よ佐助!雪だるまを三つも作ったのだ!
佐助:へぇ~、どれどれ~?うわ、随分大きいね。
幸村:真田幸村、渾身の力作でござる!これが何だかわかるか!
佐助:う~ん、そうだなぁ……氷塊?
幸村:お館様でござる!こっちが某で、こっちは虎でござる。
佐助:俺様には全部同じ雪の塊にしか見えないんだけど…(苦笑)
幸村:政宗殿!政宗殿はこれが何だかわかるでござろう!?
政宗:Ah~……妙にぐたっとしてるから……ナマコか?
幸村:!!!!
政宗:違うのか!?じゃあ……そうだな……あ!海牛!海牛だろ!?
幸村:某には、雪だるまの才能がないのでござろうか……(沈)
政宗:ちょ、ちょっと待て。当てる、当ててみせるから!Uh………クラゲ?ウニ?蛤?
佐助:とりあえず海産物から離れようよ、竜の旦那。
元親:おい、野郎共!これが本当の雪だるまってもんだぜぃ!
幸村:この声は、元親殿?
佐助:あっちの方で騒いでるみたいだね。行ってみようか。
政宗:It is a wonderful thing. 大したdetailだな……。
元親:だろ?これが何だかわかるか?(ふんぞり)
佐助:う~ん……人型のロボットかな。二本足で立ってるだけでも凄いよね。
元就:どうせまた「がんだむ」であろう。芸のない輩よ。
元親:馬鹿、これはエヴァの初号機だ!どうだ幸村、俺の雪だるま。お前のより凄ぇだろ。
幸村:む……某の方が大きいでござるよ!
元親:ただ大きくても意味がねぇんだよ。形に拘ってこそ雪だるま。
俺の作品、一種の芸術だと思わねぇか?
元就:思わぬ。我の雪だるまの方が芸術だ。見よ、我の力作「日輪」だ。
元親:ただの雪玉じゃねぇか。球体にすらなってねぇし。
元就:五月蠅い!貴様の雪だるまなど、雪だるまではないわ!
妙に釣り合いの悪いナリをしおって。突けば直ぐに壊れそうではないか!
佐助:毛利の旦那……不機嫌だね。
政宗:さっきの事引き摺ってんだろ。
元親:わ、馬鹿!絶妙なバランスを保ってるんだか………あぁぁああ!!!!俺の初号機~!!!!
幸村:見よ、元親殿!某の雪だるまが、一番でっかいでござる!
政宗:二階まであるじゃねぇか……
佐助:旦那。これはもう雪だるまじゃなくて、かまくらだからね。
小十郎:汁粉が完成いたしましたぞ。
幸村:ほわ~、あったまるでござるな~♪
政宗:やっぱ寒い日は汁粉に限るな。Thank you,小十郎。
小十郎:勿体なきお言葉(笑)おかわりもありますぞ。
元親:うぉ!この餅、滅茶苦茶伸びるな……
元就:ツブツブがたまらぬ。
佐助:歯に付いてるよ。
元就:!!!
元親:なぁ、食い終わったら雪合戦やらねぇか?
幸村:合戦!?うぉおおおお!!!!漲るらぁあああああああ!!!!
元親:おし、やる気満々だな。六人だから、3対3で丁度いいしよぉ!
小十郎:六人……俺も頭数に入っているのか……?
元就:何故わざわざ寒い思いをしなければならぬ。我は参加せぬぞ。
元親:勝った奴にのみ、汁粉おかわりの権限が与えられる。
元就:ふん、手加減はせぬぞ。
元親:お前、ホント扱いやすいな……。
政宗:勝手に決めるなよ。そもそも汁粉冷めちまうだろうが。
元親:温め直せばいいだろ。それがまた乙なんだよ。
政宗:お前等とはいえ一応客人……(溜息)仕方ねぇ、付き合うか。お前等はどうすんだ?
小十郎:政宗様が合戦に赴かれるのならば、この小十郎お供いたします。
佐助:俺様は別にどっちでも。
元親:じゃあ決まりだな!いざ、雪合戦!
幸村:まずはチーム分けでござるな。
元親:ま、その辺は適当で良いだろ。地面に線を引いて……と。
よし、これを境に3・3に分かれろ!
元就:……。
佐助:……。
小十郎:……。
政宗:ちょっと待て!何だこれは!
幸村:何故政宗殿だけそっち側にいるのでござるか?
政宗:俺が訊きてぇ!お前等空気読んで分かれろよ!そんなに俺と同じチームが嫌か!?
元親:特に何も考えずこっちに来ただけなんだが……
幸村:某もなんとなくでござる。
元就:長曾我部の指図で動くのが癪だったので動かなかっただけだ。
佐助:俺様も、特に動かなかっただけ。
小十郎:同じく……。申し訳ありません政宗様!今すぐ其方のチームに参ります!
政宗:畜生……なんでこんな惨めな思いをしなきゃならねぇんだ……
元親:どうも上手くいかねぇみたいだな。此処は公平にじゃんけんで分けるか。
政宗:随分綺麗に分かれたな。
元親:東軍は元就・猿飛・伊達。西軍は俺・幸村・片倉だな。
小十郎:ところで疑問があるんだが……雪合戦とはどうすれば勝ちなんだ?
元就:規則など無い。出来うる限り固くした雪玉を、ひたすら相手に投げ付ける。
敵が全員動かなくなった時点で勝利だ。
佐助:そんな物騒な遊びだったっけ!?
元親:分かりやすくて良いじゃねぇか。じゃ、試合開始だぜ!
幸村:お館様ぁあああ、必ず勝利して見せますぞぉおおおおお!!!!!!!
――東軍
佐助:毛利の旦那、何やってんの。
元就:先に大量の雪玉を作っておくのだ。敵が此方に攻め込み、
雪玉が無くなったのを見計らって、一気に畳み掛ける。
完璧な作戦だな……(微笑)
佐助:そうじゃなくて、雪玉に石ねじ込むの止めなよ。危ないって。
元就:言ったあろう?規則など無いと。
佐助:……。よい子は真似しないでね~。
政宗:Ha!そんな小細工必要ねぇよ。雪に慣れた人間と、
そうでない奴の格の違いを見せつけてやる!Let's show it!Yeah!
佐助:竜の旦那!そんな闇雲に飛び出しちゃ危ないよ!
幸村:うぉおおおおおおお!!!!!!負けぬぅぁああああああああ!!!!!(投投投投!)
政宗:What!?なんだよ、あの雪玉の数は!?マシンガンじゃねぇんだぞ!?
佐助:こんな速度で投げられちゃ、近づくに近づけないねぇ(苦笑)
政宗:だからって木の陰に隠れてたって、一向に攻め込めねぇだろ!?
元親:オラオラ、まだまだ行くぜぃ!!!!(ウィーンガシャッ!)
政宗:あれは……木騎?
元親:木騎一〇七号、その名も「雪奈」!発進だぜ!(しゅばばばばば)
佐助:うわ!矢の代わりに雪玉飛ばしてくる!名前の割に物騒だね……
政宗:おい、カラクリの持ち込みなんて反則だろ!?
元親:規則なんかねぇって話だろ?長い年月を掛けてこの日のために拵えた兵器!
これで勝利はいただきだぜ!
佐助:才能の多大なる無駄使いだよ。
元親:進め雪奈!敵を一網打尽にしろ!(ウィーンガシャッ!)
幸村:うぉらうぉらうぉらうぉらぁあああああ!!!!!(投投投投)
佐助:ははは……手も足も出ないってのは、この事だねぇ。
政宗:笑ってねぇで何とかしろよ!それにしても……幸村と元親だけ出張ってるが、
小十郎は一体何してやがんだ?
佐助:ほら、向こうの岩陰。凄い勢いで雪玉作ってるよ。
政宗:は、速ぇ……
佐助:右目の旦那が作って、二人が投げる。見事な合わせ技だね~♪
政宗:だから、感心してないで解決法考えろよ!
元就:ふん。解決法、か。
政宗:お、元就!何か思いついたか?
元就:簡単な事よ。向こうが正攻法で来ないのならば、此方も禁じ手を使うのみ。
佐助:石ねじ込んでた人が、正攻法とか言えた義理じゃないけどね……
元就:見ておれよ(微笑)
――西軍
幸村:うぉりゃぁああああああああ!!!!
元親:おい、幸村。そんな調子で投げてたら身が持たねぇぜ。敵はかなり後退した。
ここらで少し休んでおこうぜ。
幸村:某、まだまだ行けるでござるよ!
元親:そんなに直ぐ決着が付いちまうんじゃ面白くねぇだろ。相手の出方も見ようぜ。
幸村:しかし……いくら問答無用の勝負とはいえ、カラクリを用いて一方的に攻めるなど、
卑怯ではなかろうか?某、どうも良くない気がするぞ。
元親:いいんだよ。あっちには元就が居るんだ。正攻法なんかで攻めてみろ。
石ねじ込んだ雪玉投げられて、昏倒するのがオチだ。
幸村:そ、それは痛そうでござるな……
元親:だろ?だからこのぐらいで丁度良いんだよ。…………片倉ぁ。
お前さっきから物陰で雪玉ばっか作ってるけどよぉ、退屈じゃねぇのか?
小十郎:兵糧として握り飯は作り慣れている。心配するな。
元親:いや、まぁ確かにコンベア作業並みの速さで助かるけどよぉ……
幸村:握り飯か……なんか美味しそうに見えてきたでござるな。
元親:食うなよ、腹壊すぞ。……そういうことじゃなくてだな、
ちったぁ前出てきて参加しろよ。やる気あんのかぁ?
小十郎:いや、ない。
元親:この野郎……断言しやがって……。
小十郎:東軍には政宗様がいらっしゃる。主に向かって雪玉を投げ付けるなど、
俺の右目としてのプライドが許さねぇ……。かといって、ここで参加しない
などというのも、あまりにもKYというもの。俺は雪玉作りのみで良い。
元親:けっ……KY……?………くそ真面目というか何というか、
ま、あんたがそれでイイなら構わないけどよ。
幸村:元親殿。あれは、なんでござろうか?
元親:あん……?………げっ!なんだよあのでっけぇ雪玉はっ!?
幸村:身長くらいあるでござるな。
元親:呑気に構えてんじゃねぇ!逃げるぞ!
小十郎:しかし、あのカラクリはそのままでいいのか?
元親:ああぁぁあ良くはない!良くはないけどぼんやりしてたら雪玉に轢かれる!
兎に角逃げるぞ!
(ごろろろろろろろろ……)
――東軍
いつき:ゆ~きだ~るまご~ろごろ♪
元就:良い調子だ。娘、そのまま間髪入れずに攻撃を続けよ。
いつき:わかっただ!悪い子にゃあ、お仕置きだべ!(ごろろろろ…)
政宗:助っ人って……反則じゃねぇのか?
いつき:おら混ざっちゃいけなかっただか!?兄ちゃんがおらを呼んだんじゃねぇか。
政宗:いや、まぁそうなんだが……。元就が呼べって言うからよぉ……
元就:反則など無いと何度も言っている。雪合戦の熟練者を味方に引き入れる。
これも策の内。我等にはちまちまと雪玉を作る必要などないのだ。
いつき:みんなで雪合戦、楽しいべな~♪村のみんなと遊ぶのも良いけど、
そうすると、おら全力で戦えねぇだよ。だからすっごく楽しいだ♪
おら頑張るべ~。絶対勝つだよ!
政宗:ま、まぁ喜んでるなら良しとするか……。
いつき:おらは雪合戦のぷろふぇっしょなるだべ!さぁ、どんどん行くだよ!(ごろろ…)
佐助:ただいま~♪
政宗:お前、どこ行ってたんだよ。
佐助:忍は忍らしく。木騎の操舵席に潜り込んで、ちょいと仕掛けをね♪
元就:よし、戻ったか猿飛。これで形成は一気に逆転だな。(微笑)
いつき:ゆ~きだ~るまご~ろごろ♪
佐助:さぁて、俺様は向こうの状況でも探ってこようかな~?
政宗:……俺だけやることがねぇ。雪合戦だってのに、殆ど雪玉投げてねぇぞ……(沈)
――西軍
(ごがぁああああん……)
元親:俺の雪奈ぁああぁっ!!畜生……俺がアイツにいくら注ぎ込んだと思ってんだよ……
小十郎:何やら女に逃げられたように聞こえるな。
幸村:カラクリも破壊され、大雪玉がひっきりなしに転がり来る。
このままでは負けてしまうでござる!
佐助:やっほ、旦那達。景気はどうだい?
幸村:佐助!………敵地に単独潜入とは、見上げた度胸なり。
その心意気に敬意を表し、真田幸村、一騎打ちにてお相手つかまつる!
佐助:ちょ、雪玉構えるの止めてよ。様子見に来ただけで、特に何もしないからさ。
うちには雪玉の専門家が味方に付いたし、西軍は頼みのカラクリもない。
小十郎:どうせてめぇが壊したんだろ。
佐助:あら、ばれてた(苦笑)。兎に角、勝敗は見えてるし、日が陰ってきて寒い。
もう降参しない?汁粉なら俺が帰ったら作ってあげるからさ。
幸村:む……そ、そうでござるか…?
元親:騙されるんじゃねぇ幸村!これは巧妙な心理作戦だ!
幸村:はっ!そうなのでござるか!?汁粉を出しに使うとは、卑怯なり!
佐助:いや、騙すとかじゃなくて、夕飯の支度もあるからそろそろ帰りたいんだけど……
元親:そっちがその気なら、こっちも奥の手を使うまでよ!
佐助:な……何?そのあからさまに怪しいスイッチは……?
元親:へっ!自分の軍に帰って伝えな。せいぜい今の内に逃げる準備をしておけってな。
――東軍
佐助:大変だ!鬼の旦那が何かやらかす気……って、ちょっと。何お茶飲んでんの!?
元就:このような戦、我が出るまでもない。
佐助:女の子にだけ働かせて、のんびりしてていいの!?
いつき:さぁ、負けねぇべ~。大寒波ぁああ♪
元就:本人も楽しそうだし、良いのではないか?
佐助:いや、まぁそうだけど……竜の旦那も、隅っこで何してんの?
政宗:俺が居ても居なくても、戦況に大差ねぇだろ。
佐助:いじけてる場合じゃないって。鬼の旦那が、また何か仕掛けて来るよ。
政宗:何だと?そいつぁ面白ぇ。漸く俺の見せ場ってわけか。
佐助:いや、見せ場かどうかは知らないけど。鬼の旦那のことだから、
また後先考えずに、どでかいカラクリ持ち込んでくるかもしれないよ。
元就:ふん、芸のない輩よ。同じ手を講じたところで無駄……(ごごごごご……)
な、何事だ!?
佐助:あ!あれ見てよ。山の方に何か出てくる!
(ごごごごご……ごがぁん!)
いつき:ふわぁ~、でっけぇ雪だるまだべなぁ!
政宗:なんだあの雪像は…?うちの領土にいつの間にあんなもん埋めやがったんだ…?
元就:ふん、所詮は大きさだけの虚仮威し。長曾我部の悪足掻きに過ぎぬ。
あのような雪像など、我が消し去ってくれよう!日輪に捧げ奉らん!(ぴかー)
佐助:あ、日に照らされて溶けてくよ。
元就:やはり、長曾我部の考えることなどこの程度……む?
いつき:あれ……雪だるまじゃねぇべ。雪に覆われてるだけだ。
政宗:中身は……なっ!
佐助:ほ………本多忠勝!?うわ~……そりゃ反則っしょ……
――西軍
忠勝:(ウィーンガシャッ)!!!
元親:見たかぁ!俺の最終手段!家康と友達になっておいて良かったぁ~♪
幸村:うぉおおお!!!!戦国最強と謳われし本多殿!!!是非とも手合わせ願いたく!!!
元親:馬鹿、あれは味方だ。これで俺達の勝利は確定だぜぃ!
小十郎:本多は雪合戦ために、わざわざ埋まってたのか……?
元親:おぉ、こないだ肉まん奢ってやったからな。お礼だって快く引き受けてくれたぜ。
小十郎:心が広いな……。
元親:ホンダム、発進だ!
忠勝:(ウィーンガシャッ)!!!
小十郎:なぁ……素朴な疑問なんだが……
元親:どうしたのか?
小十郎:山の斜面に埋まってたってことは、本多が抜け出した今、
そこにはでけぇ穴が空いてるって事だよな?
元親:それがどうかしたのか?
小十郎:それって……雪崩とか起きるんじゃねぇか?
元親:なだ……れ?(ずずずずずず………)なんか……いやぁな地響きが……(汗)
小十郎:こ、これはやはり……!
(ごごごご………どざぁぁあああああ!!!!)
元親:雪崩だぁああ!!!!逃げろ逃げろ逃げろぉおおお!!!!
――東軍
政宗:全員総出で向かってくるぜ!
元就:最終決戦というわけだな。よかろう、相手になってやる。
佐助:あの三人に戦国最強が加わった軍と戦り合う?もう雪合戦じゃないよ、これ(苦笑)
小十郎:政宗様!お逃げ下さい!
政宗:Hahn?お前何言って……
元親:後ろ後ろ!
政宗:げっ!
いつき:ひゃあ!
佐助:うわ~……
元就:最終兵器が雪崩!?計算してないぞ!?
元親:計算じゃねぇ、事故だ!
佐助:あ、あれ!?真田の旦那は?
元親:ん?付いてきた筈なんだが……
幸村:うぉぉ……腹がぁ……
佐助:どうしたの旦那ぁぁぁ!!!?
幸村:か、片倉殿の作った雪玉が……どうにも旨そうに見えて……つまみ食いを……
佐助:あぁもう何やってんだか!ほら、掴まって。
幸村:す、すまぬ……
政宗:おい、いつき!何ぼーっと突っ立ってんだ!逃げるぞ!
いつき:……。
政宗:いつき!早くこっちに……
いつき:大寒波ぁぁぁ!!!!
(ごごぉぉぉぉ……)
いつき:大人なんだから、巫山戯るのも大概にするだ。遊びには節度ってもんが有るべ。
一同:すいませんでした……
いつき:山の神さんを本気で怒らせたら、雪崩所じゃ済まねぇだよ。
今度から、肝に銘じておくべな。
元就:ぐ……何故子供に説教されねばならぬのだ。
元親:仕方ねぇだろ、悪いのは俺達なんだから。
元就:「達」ではない!全て貴様のせいだ!焼け焦げよぉおおおおお!!!!
元親:アヂィイィイイイッ!!!!
いつき:いい加減にするだ!
二人:……!!!
いつき:全く……それでも本当に大人だか。
政宗:雪崩を一人で食い止めるなんざ、お前も十分人間かと疑いたくなるな……。
いつき:兄ちゃんの家を壊すまいと頑張ったのに~(膨)
政宗:感謝してるって。そうむくれんなよ。
幸村:汁粉はまだでござるか?
佐助:え?腹痛は?
幸村:もう治ったでござる♪
佐助:はぁ……旦那も人間とは思えない腹だよね……。
小十郎:汁粉、温め直して参りましたぞ。
元親:おぉ来たか!かぁ~、温けぇなぁ!最初からおかわりすりゃあよかったぜ!
政宗:お前が雪合戦とか言い出したんだろうが!
幸村:佐助。うちで食べる分は、こしあんで頼むぞ!
佐助:え……帰ってからも食べるの?
幸村:当然でござる。さっき作ってくれると申したであろう。
佐助:はいはい……(溜息)
元就:何故貴様の方が餅が多いのだ!
元親:わ!馬鹿、まだ一杯有るんだから人の盗るんじゃねぇよ!
いつき:はぁ……ホント、大人気ねぇ兄ちゃん達だべ。
小十郎:まったくだな(笑)
Powered by "Samurai Factory"