小十郞:政宗様、もう昼過ぎですぞ。いくら休日とはいえ、いい加減に起床されよ!(開)
政宗:わっ……眩っ!(潜)
小十郞:行く行くは天下を背負って立つお方が、なんと情けない姿であることか!
力ずくでも、起きていただきますよ。(剥)
政宗:寒い~……ぅ~………まだ眠う…………眠…………(寝)
小十郞:政宗様!
政宗:っ!お…………おはよう………ござい………まする。
小十郞:ふむ。漸く目覚めたようですな。朝の御挨拶も、珍しく丁寧なご様子。
この小十郞、感心いたしました。さぁ、ぼんやりしている暇はありませぬぞ!
政宗:し、敷き布団から転げ落とさないでいただきたい!
何故片倉殿がこのようなところに居られるのだ!?
小十郞:何をおっしゃっているのか。……さては、まだ寝惚けておいでですな?
爽快に目覚めていただくため、例によってあの秘技を使わせていただきますぞ!
政宗:む?その布は……乾布摩擦か何かでござるか?
小十郞:ほぅ。今日はお逃げにならないのですね。イイでしょう。
小十郞めが遠慮無く、最高に健康的な乾布摩擦をお見舞いいたしましょう!(跳)
政宗:っ!……な、何をするのだ!うわ!葱!布ではなく葱……くさっ!
葱くさいでござる!ねっちょりするでござる!ひぃやぁああああ!!!!!(泣)
幸村:zzz……
佐助:いつまで寝てんの旦那。布団干す時間なくなっちゃうでしょうが。
幸村:zzz……
佐助:………あっそう。寝てるんならイイよ。折角お昼ご飯に
三色丼作ってあげようと思ったのになぁ。
幸村:zzz……
佐助:………?旦那?
信玄:じゅきむるぅわぁああああああああああああ!!!!!(すぱぁん!)
佐助:た、大将……。障子は静かに開けてくださいよ。直ぐ壊すんだから。
幸村:Ah……?なんだってんだよ、騒々しい……
信玄:未来在る若者が休日にだらけて居るなど、なんと嘆かわしい!修行に参るぞ!
幸村:なんでおっさんが此処に?……っておい!首掴むな!締まっ……ぐお!
佐助:お館様……寝起きなんだからもうちょっと穏便にね。
信玄:何?寝起きとな。ではさっさと顔を洗って参れぇぇい!(投)
幸村:なっ、なにすん………ぬお!?(だっぱぁあああん)
佐助:池に……。大将、いい加減にしてよ!錦鯉が死んじゃったらどうすんの!
幸村:そっちかよ!………っきし!だぁぁ……冷てぇ……。
どうなってんだよ。何で佐助や信玄のおっさんが家に……Ah?
な、なんだよコレ……。
佐助:何してんの。ほら、早く上がりなよ旦那。いくらアンタでも風邪引くよ。
幸村:これは何なんだよ!
佐助:何って……水面?ちょっと旦那、自分の顔に見惚れてるとか言うのやめてよ。
幸村:そうじゃねぇ!なんでここに真田幸村の顔が映ってんのか訊いてんだよ!
佐助:なんでって……水って自分の顔が映るもんでしょ?
幸村:It's my face……?
佐助:どしたの旦那?
幸村:うぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!
政宗:どうなっておるのだ……。鏡に映るは己が姿の筈。
しかし……この顔はどう見ても……政宗殿のお顔。某は……某は一体……
ぬぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!!(がんがん!)
小十郞:ど、どうなさいました政宗様!鏡に顔面を打ち付けて。
やはり、休日用の眼帯でないと落ち着きませんか……?
ならばこの小十郞めが、今すぐスペアの眼帯にウサギ刺繍を施して参りま……
政宗:片倉殿!
小十郞:……政宗様?何故、そのように他人行儀な呼び方をなさるのですか?
乱暴に起こしたことを、まだ怒っていらっしゃるので……?
政宗:い、いや、某決して怒っているわけではない。ただ……
小十郞:では、いつものように小十郞とおよびください。
どうもむず痒くてなりませぬ。(苦笑)
政宗:む………そうでござるか?こ……こじゅっ……ろ?
小十郞:はい。なんでしょう、政宗様?(笑)
政宗:あ……いや、その。某は……某は政宗殿ではないのだ!
小十郞:………。…………はい?
政宗:だから、某は真田源二郎幸村なのだ!朝起きたら何故かこのようなことに……
小十郞:…………。
政宗:こ……小十郞………殿?
小十郞:わかりました。
政宗:っ!分かっていただけたか!
小十郞:お約束した畑仕事が、面倒になったのですね。
おサボりになって、真田の元へ遊びに参りたいと、そういうことでございますね。
政宗:ち、違っ……!
小十郞:政務を投げ出して「決闘だぁ!」と遊びに行ったのは己の不始末。
己の不始末を部下に片付けさせた罰として、畑仕事を約束した筈です。
約束を違えるは武士の名折れ。働いていただきますぞ、政宗様!(極殺)
政宗:ひぁあああああ!!!!何故そうなるのだぁあああああ!!!!(逃)
小十郞:逃がしはしねぇっ!(追)
政宗:葱が床に刺さっておる……こ、これは捕まったら最後!(逃)
部下A:あれ?筆頭が廊下走ってくるぞ?
部下B:どうかしたんすか~?
政宗:そ、そなた等!すまぬが匿ってくれ!
部下A:え、えぇ!?何事!?
部下B:見ろよ、後。小十郞様だ。
部下A:ああ……成る程。そういう……(苦笑)
小十郞:てめぇ等、政宗様を見ていないか。隠すと為にならんぞ!(葱)
部下A:隠したりしませんって。
部下B:俺達の後ろに居ますよ。
政宗:なっ……なんと薄情な!
小十郞:ま~さ~む~ね~さ~むぅあ~……
部下A:これからいっちょ、稽古付けて貰う約束してましてね。
政宗:!
小十郞:稽古……?
部下B:伊達軍一同、いつも稽古は怠りませんよ。
小十郞様も筆頭に用が在るみたいですけど、俺等も約束がありますからね。
小十郞:む……。
政宗:や、約束を違えるのは、武士の名折れでござる!
部下A:っという訳で、畑仕事は後で俺等も手伝いますから、
今のところは、筆頭を解放してやっちゃくれませんかね。
小十郞:………。仕方在るまい。
政宗:そなた等~~~~!!!!!恩に着るでござる!!!!
部下B:おやすいご用ですよ(笑)あ、でも稽古はしてくださいよ。
部下A:前々から約束してるのは本当なんだ。
筆頭、いつも忙しいって相手してくんねぇんだから。
政宗:む。そうか。稽古は某も大好きだ!喜んでお相手つかまつる!
信玄:これより修行をはじめる!まずは百人組手……幸村?
幸村:………。
信玄:そんな隅の方で何をして居るか。早う中央に出て参れ。
幸村:どうしてもこの格好しなきゃならねぇのかよ……腹丸出しで落ち着かねぇんだが。
信玄:そなたも戦装束の方が気合いが入るであろう。では参るぞ、百人組手。
まずは、百の男の荒波にもまれよ!
兵士達:いきますぜ、幸村様!
幸村:げ……なんだよ此奴等、暑苦しいな。……いいぜ、相手になってやる!(構)
兵士達:やあああああああ!!!!
幸村:Let's show it!!!Ha!
兵士達:うわあああああ!!!………気合い……気合いだぁああああああああ!!!!
幸村:上等。一太刀程度じゃ怯まねぇってか。……ならWAR DANCE!!!!
兵士達:………?
幸村:……Ah?WAR DANCE!!!………刀が増えねぇ。なんで……
(ごぉおおおおおおおおおおおお)…………。
兵士一:ああっ!幸村様が!
兵士二:幸村様が、自らの顔面に炎を噴射したぞ!
兵士三:そりゃ、漲っておられる時に自分に手を向けたらそうなるのに……
兵士四:幸村様らしくもない……。
兵士五:おいたわしい……髪がチリチリに……。
幸村:………。だぁああああうっせぇ!!!!憐憫の眼差しで見るな!
畜生……そうだった。今日は獲物が幸村の槍なんだった。
兵士達:参りますぞ、幸村様!
幸村:だが……お前等雑魚が俺に適うと思うなよ!HELL DRAGON!!!!(ごぉおおおお)
兵士達:わあああああ!!!!!
幸村:Ha!Piace of cake!
信玄:流石は幸村よ。では、次の試練よ。例によってこの男と戦うてみせい!
天狐:ま、毎度どうも~……
幸村:………………。……………佐助。
天狐:うわお!たたた大将!なんか速攻ばれたんだけど!?
信玄:成長したな、幸村。
天狐:感心してる場合!?なんか旦那、気の毒そうな顔でこっち見てんだけど!
俺様、居たたまれないんだけど!
幸村:まぁいい。てめぇの自慢の忍の技とやらで、俺の首を取って見せろよ(構)
天狐:だ、旦那……?
幸村:さぁ、Partyの始まりだぜ!
部下C:やぁ!
政宗:ふん!
部下D:とぅ!
政宗:お!……危ないところであった。片方の視界では、距離感が上手く掴めぬ。
しかし、政宗殿は某と互角の力を持っている。誠……大した武人でござる。
部下E:はっ!
政宗:それで隙を突いたつもりか。甘い!
部下達:ぬぉおおお!!!?
部下A:あ~……纏めて掛かっていっても駄目か。やっぱ筆頭強ぇわ。
政宗:そなた等も筋は悪くないぞ。ただ闇雲に突撃するのは良くない。
仲間と呼吸を合わせ、連撃に持ち込めば、かなりの力となろう。
部下達:ふむふむ。
政宗:それと、その軒先のような前髪も良くないぞ。視界が狭くなるでござる。
それから……
小十郞:精が出ますな、政宗様。
政宗:片倉ど……ではなく、こじゅーろう。お?それは、団子ぉおおおお!
小十郞:そろそろ小腹が空く頃と思い、ご用意いたしました。
政宗:おおおお!忝ない!早速……
小十郞:その前に
政宗:?
小十郞:私も、お手合わせ願いたい。
部下B:おぉお!
部下C:小十郞様と筆頭の稽古!見物だぜ……
政宗:某……早く団子を……
小十郞:団子は稽古の後です。政宗様。是非六爪にて、お願いいたします。
政宗:ろくそー……。
部下D:そうですよ、筆頭!普段は一刀なのは分かるとしても、
何故か今日は、ずっと二刀流じゃないっすか。
政宗:……どうも両手に持たないと落ち着かないのだ。
部下A:だったら尚のこと、六爪で本気を見せてくださいよ!
部下達:見たいっす!
政宗:む、むぅ……。
小十郞:既にご用意させていただきました。さぁ、お持ちください。
政宗:そ、そこまで申すなら………(かしゃん)
部下達:………。
政宗:ろ、六刀という奴を使って見せ……(かしゃかしゃん)。
部下達:………。
政宗:………。
部下達:………。
政宗:………。ええい!六本も持てるわけなかろう!
部下A:おお……筆頭が。
部下B:筆頭が癇癪を起こしたぞ。
政宗:ぬぅ……流石に怪しまれておるな。
そ、某は疲れた故、すまぬが引き上げさせて貰うぞ。(そそくさ)
部下C:あ、筆頭!
小十郞:………。
天狐:あらよっと!(投)
幸村:くっ……(避)
天狐:これならどうだい?(消)
幸村:Shit……
天狐:ほいっと。(斬)
幸村:ぐっ!
天狐:………。旦那、もしかして、手抜いてる?
幸村:何だと?
天狐:簡単に間合いに入れるんだもん。まるで、槍を殆ど使ったことが無い人みたい。
幸村:………余計なお世話だ。全力で来い。
天狐:あっそ。なら、遠慮無く。
信玄:未熟者がぁああああ!!!!(着地)
幸村:なっ……天井から降って来やがった……。
天狐:また穴開けて……仕事増やさないでくださいよ大将。
信玄:修行といえど、全力で行うが武田の流儀よ。今日のお前はたるんでおる。
槍の軌跡に、いつものような切れがまるでないわ。
幸村:Ah……?
信玄:天狐仮面が本気を出せば、今日のお前など一撃よ。儂が気合いを入れ直してや……
幸村:うっせぇ!!!!!!!外野が邪魔すんじゃねぇよ!
信玄:!
天狐:だ……旦那?
幸村:こんな無駄に長ぇ獲物使えるか!文句があるなら刀持ってこい!
忍もおっさんも、こっちが一撃で葬ってやるぜ!!!!!
信玄:ゆ……幸村……。幸村が………(座)
天狐:大丈夫大将!?ちょっと旦那ぁ……アンタ、誰に楯突いてるか分かってんの?
信玄:おっさん……がいや……(沈)
天狐:ほら!滅茶苦茶落ち込んでんじゃん!どーすんだよコレ!
幸村:お、俺は……。
信玄:………。
幸村:う……。切ない目で見るんじゃねぇ。……悪かったよ。ちょっと苛ついててな。
爪の無ぇ竜なんざ、たるんでると見られて当然だ。獲物無くしたくらいで
押されるようじゃ、確かに俺も気合いが足りな……
信玄:その通りじゃあああああああああああ(殴)
幸村:ぶっ!(飛)
信玄:ふはははは!幸村よ!儂が本気で落ち込むとでも思うたか!
真の気合いを持つ者は、如何なる局面にも狼狽えたりせぬ!
天狐:心の底から落ち込んでたじゃん……
信玄:儂がお前に気合いを入れ直してやろう。ふんぬわぁあああ!!!!(殴)
幸村:ちょ……待っ……ぐお!
信玄:愛の拳じゃあああああ!!!!(殴)
幸村:おい……俺は幸村じゃな……ぐふぉっ!
信玄:気合い、気合いじゃぁあああああああああ!!!!(殴殴殴っ)
………さて、幸村よ。修行を再開する。そなたの熱き思い、とくと見せつけい!
天狐:あの……大将。旦那、動かなくなっちゃったんだけど。
信玄:ふん、世迷い言を。幸村はこれしき、蚊に刺されたほども……
天狐:いや、確かにその筈なんだけど……ほら。
幸村:次生まれる時は……鳥になりてぇな……
信玄:ゆきむるわぁあああああああああああ!!!!!!?
部下C:筆頭……何処か具合でも悪いんすか?
政宗:案ずるな。少々驚くことがあっただけのこと。某もまだまだ気合いが足りぬ。
部下D:まぁ、誰しも調子が出ない日ってのはありますって。
部下E:そうだ筆頭!気合いの入りそうな物、仕入れてきましたぜ~。
政宗:おぉ!なんでござるか?
部下E:ヤンジャンで~す。
政宗:む?ジャンプでござるか!それならば、元親殿に見せて貰ったことがあるぞ。
某はナルトが好きでな♪
部下C:筆頭(笑)ヤングジャンプですって。
今回、巻頭グラビアが結構気合い入ってんすよ。
政宗:ぐらびあ?
部下D:まぁ筆頭は女に不自由してねぇからグラビアなんてくだらねぇって言うかも
しれねぇっすけど。新人の娘がもうぎりぎりな感じなんすよ~♪
政宗:もう、ぎりぎり?危機的状況ということか?
部下E:う~ん、まあ……ある意味?さぁ、ご堪能ください!(開)
政宗:……………。
部下C:どうです筆頭?
部下D:この曲線がなんともいいっすよね~。
部下E:俺としてはもう少し………筆頭?
政宗:は…………破廉………(倒)
部下達:筆頭!?
幸村:Um……?此処は……
佐助:旦那の部屋。(載)
幸村:わっ、冷っ!なにしやがる!
佐助:冷やすの。此処、赤くなってるよ。
幸村:………あのおっさん……本気で殴りやがって……。痛っ……
佐助:普段はこれ位なんともないのに……余程当たり所が悪かったのかな?
お館様も心配してたから、後で報告しに行きなよ。
幸村:ちっ……。
佐助:…………。
幸村:な……なんだよ。じろじろ見てんじゃねぇよ。
佐助:ねぇ………旦那。何かあった?
幸村:Hah……?
佐助:今日の旦那、変だよ。我が儘で傍若無人で礼儀知らずで
破廉恥で自意識過剰で癇癪持ちで支離滅裂だ。
幸村:大人しくしてりゃ言いたい放題だな……。俺はで初志貫徹して自由奔放で如才無ぇ、
大人で自信に溢れ、行動派で首尾一貫してんだよ!
佐助:………。
幸村:な……なんだよ!可哀想な目で見るんじゃねぇよ!
佐助:ホント……中身だけ別人に変わっちまったみたいだ。
幸村:お前にしちゃあ良い発想じゃねぇか!そうだ!俺は幸村じゃねぇ。
何故かは分からねぇが、中身が入れ替わった奥州筆頭、伊達政宗なんだよ!
朝起きたら、幸村の中に入ってて、俺も何が何だか……
佐助:………。
幸村:なにしてんだ、おい。気安く触んな。
佐助:熱は、無いみたいだね……。竜の旦那に、何か妙なこと吹き込まれたの?
それとも弱みを握られてるとか?訳の分からない遊びに付き合わされてるんなら、
俺様が話し付けてあげるから、心配しなくてイイよ。
幸村:お前の中で、俺は余程厄介な存在らしいな……(沈)
佐助:言いたくないんなら、無理して言わなくても良いけどさ。あ、団子食べる?
林檎とかの方が良いかな?退屈するといけないから、テレビも持ってこようか?
幸村:だぁぁぁぁっ鬱陶しい!てめぇは仮病で学校休んだ時に気使うお母さんか!
いちいち伺うようにのぞき込むな!普段邪険に扱われてるてめぇに
親切にされると気味が悪ぃんだよ!
佐助:………。
幸村:はぁ……はぁ………ったく………。
佐助:………………。そっか。そうだよね。御免。
幸村:っ!!!あ、いや……悪ぃ。その……勢いで……。
佐助:旦那は悪くないって。そもそも忍風情が偉そうに悩み相談なんて
烏滸がましいにも程がある。ご無礼、いたしました。
幸村:違っ……!
佐助:退散……するからさ。ゆっくり休んでよ、旦那。
幸村:佐助!俺は本当に……!
(すぱぁっん!ばき。)
…………。しょ……障子が折れっ…………怒っ……てんのか?
政宗:あ~……(とんとんとんとん)
小十郞:鼻血が出た時に首の後ろを叩くのは、間違った処置ですぞ。
政宗:そうなのか?む……でも、止まったでござるよ。
小十郞:それは何より。では、政宗様。
政宗:?
小十郞:此方へ、お座りください。
政宗:う……うむ。
小十郞:政宗様……そう、呼ぶのが………間違っているのは分かっている。
政宗:へ?
小十郞:てめぇは誰だ(ずんばらり)
政宗:かかかか片倉殿!?いきなり抜刀は良くないでござるよ!?
小十郞:ガタガタ騒ぐんじゃねぇ。俺は、てめぇが誰なのか訊いてるんだよ。
武田か、上杉か、北条か。何処の忍かは知らねぇが、
もちっと腕磨いてくるんだな。てめぇの変化は、二流以下だ。
政宗:変……化?
小十郞:見た目はまぁ……本物と紛うばかりだが。政宗様御自らが、
友達の輪に入っていく事が彼程上手くできる筈が無い。
誰をだませても、この小十郞の目は誤魔化せねぇ!
政宗:なにやら政宗殿が気の毒になってきたでござる……。
小十郞:さぁ、とっとと主を吐いて貰おうか。
政宗:だから今朝も申したではないか。某は外見は政宗殿だが、真田幸村なのだ。
小十郞:やはり……武田の忍か。
政宗:そうでは無い!某自信が、幸村にござる!
小十郞:……?武田の忍に習って、真田本人が変化の術を……?
政宗:だから違うと言うに。~~~~っ!片倉殿、少々頭が固いでござるな!
小十郞:な、何を言うか!誰が年寄りだ!
政宗:某、其処まで言って居らぬ……。兎に角、少し某の話を聞いてはくれぬか?
政宗:………。
佐助:………。
小十郞:……。
幸村:………。
小十郞:………それで?
佐助:は?
小十郞:どうしてくれんだ、この状況。
佐助:こっちが訊きたいんだけど。
小十郞:政宗様の御身をてめぇ等が奪ったんだ。落とし前は付けてくれんだろうな!
佐助:どぼけてんじゃねぇよ!旦那の身体に入り込むとかあり得ないんだけど!
とっとと出てってくんない!?
政宗:なんだか、妙な内容の喧嘩でござるな……
幸村:昼ドラの修羅場みてぇだな。
保護者:傍観決め込まない!
二人:!!!
小十郞:政宗様……もとい、真田曰く、朝起きたらこの状況だったってことなんだが。
佐助:うちも。旦那………いや、朝起きた時から、竜の旦那だったって。
幸村:頼むぜ小十郞……早くなんとかしてくれよ。このナリじゃ、暑苦しくて仕方ねぇ。
政宗:某も早う甲斐に帰りたいでござる。
小十郞:なんとかとおっしゃいましても……。
佐助:これ……戻せんの?
政宗:よ……四方や一生このままではなかろうな!?
小十郞:こんな奇天烈なこと、一体誰に相談すればよいのか見当も付きませぬ。
もし、このまま過ごさねばならないとしたら……御身とお心、
どちらを優先すべきなんだ……。
佐助:そりゃ中身でしょ。外見ならなんとか取り繕えるかも知れないけど。
小十郞:と言うことは、俺が外見が真田の政宗様を。
佐助:俺が竜の旦那に見える、真田の旦那を連れて帰る訳か………。
保護者:~~~~~っ………。
幸村:おい、なんだその顔は。
政宗:もの凄く嫌そうでござるな。
小十郞:真田が雄叫びを上げながら、畑の野菜という野菜を平らげて行く姿を想像したら
熱中症を起こしかけたぞ………。
佐助:俺様も……。今、頭ん中で旦那に団子あげたら、凶悪な顔でニタァってされた。
保護者:……可愛くない可愛くない可愛くない可愛くない可愛くない。
幸村:ホントお前等、大概にしろよ?
政宗:一番困っているのは、当の某達でござる!
佐助:俺達だってどうにかしてあげたいよ。でもさぁ……
元親:よう!調子はどうだ?遊びに来てやったぜ♪
政宗:元親殿!
幸村:何しに来たがったんだてめぇは。今取り込み中なんだよ。
元親:…………ん?
政宗:な、なんでござるか?
元親:…………お?
幸村:Ah~?なんか文句でもあんのかよ。
元親:どうなってんだ?コレ。
佐助:うん、まぁ驚くよね。ちょっと座って。事情説明するから。
――説明中。
元親:ほぉ~。
幸村:いだだだっ!顔を引っ張るな!
元親:化けてるとか、そういうんじゃねぇんだな。
小十郞:それだけなら、どんなに楽か。
政宗:元親殿ぉ……何か良い方法を知らぬか……?
元親:お……おぉ。……幸村、なんだよな。伊達の面で、
そういう縋るような目をされると、鳥肌が立つからやめてくれ。
政宗:むぅ……。
元親:入れ替わり……ねぇ。
幸村:Shit………なんでこんな事になっちまったんだ。
元親:いや、全く。まさか本当に入れ替わっちまうんてなぁ。
政宗:本当に……………ん?
幸村:おい、今なんつった?
元親:へ?「まさか本当に入れ替わっちまうなんてなぁ」?
幸村:(胸倉)どういう意味だコラ。てめぇ、何か知ってやがるな。
元親:う、うぉぉ……幸村がぐれたみたいな顔してやがる……(哀)
幸村:誤魔化すんじゃねぇよ!俺等に何しやがったって訊いてんだよ!
元親:………あ~。多分、これの所為だな。
幸村:なんだ、このちゃらちゃらした棒は。
元親:近所の骨董屋で売ってた「魔法少女乃素鉄器」だ。
政宗:まほうしょうじょ………すてっき?
元親:造形が気に入ったから買ったんだが、売り文句が「本物です」でよぉ。
勿論信じた訳じゃねぇんだが……
お前等が、俺ん家でごろごろ漫画読んでた日があったろ?あの時……
――回想
元親:本物……ねぇ。いっちょ試してみっか。何か適当なモノは……
幸村:むぅ……読み終わっちゃったでござる。
政宗:Ah?何か言ったか?
幸村:政宗殿の読んでるいる物は、何巻でござるか?
政宗:これか?五巻だな。もう読んだこと在るから、飽きちまったぜ。
元親:(こそっ)お。手頃な奴等発見。せぇの、ちちんぷいぷい~……♪(くるくる)
幸村:おぉ!是非………交換してくれ!
元親:ちちんぷいっと♪
――
元親:まぁ、その時は変化が無かったから、やっぱ偽物か~で終わったんだが……。
こりゃ本物だな。骨董品だから効能だけ後から発揮されたのか………ん?
幸村:てんめぇ~………
政宗:元親殿ぉぉ……
小十郞:覚悟は出来てんだろうな?
佐助:死んでくれ……本気だ。
元親:ちょ……え?何コレ。みんな怒ってる感じか?
一同:当たり前だ!
元親:ま、待てよ~。俺だって悪気があったわけじゃねぇし、
そもそもこんな事になったのは、幸村が「交換」なんて言ったからで
全部が全部俺の責任じゃ……
一同:問答無用!
もう一回呪文を唱えたら、元に戻りました。
――おまけ
幸村:なんとも恐ろしい棒でござった……。
政宗:二度と御免被るぜ。あのステッキはどうした?
幸村:佐助と片倉殿が、海に捨てると申しておったぞ。
政宗:そうしてくれ。あんな物が存在したんじゃ、どんな巫山戯た事が起きるか……
元親:貴様等ぁぁぁぁああああああああああああああ!!!!!!
政宗:うぉ!
幸村:も、元親殿……?
政宗:ボコボコにされたくせにもう立ち直りやがったか。頑丈な野郎だぜ。
元親:そんなことはどうでも良い!貴様等、長曾我部の阿呆を見ておらぬか!
幸村:…………む?
政宗:どういう意味だ?
元親:あのバ海賊め……。必ずや引っ捕らえ、我をこんな恥知らずのナリをさせたこと
後悔させてくれる!ちょ~う~そ~か~べぇえええええええええええええ!!!!(怒)
政宗:アレってまさか……元就か?
幸村:走って行っちゃったでござるな。
政宗:おい。ステッキって確か……海に捨てたんじゃなかったか?
幸村:と言うことは………どうやって元に戻すのだ?
二人:……………。気の毒に(合掌)。
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