佐助:やれやれ、今日のお仕事も終了っと。……うわ、腰骨がもの凄いごきごき言ってる。
嫌だな~……。俺様まだ公式設定で「青年」って表記になってるはずなのに……(沈)
幸村:うぉおおおおおお!!!!烈火ぁあああああああ!!!!
佐助:あの声は……旦那。まだ鍛錬してるのか?……はぁ。武田にいる限り
俺様の老化は早まる一方だよ……(泣)
幸村:火焔車ぁああああああ!!!
佐助:そろそろ「鍛錬が終わったぞ。佐助、団子。」とか言い出すな……。
さて、準備しておきますか。
幸村:佐助!?帰っておったのか……。
佐助:あ、旦那。もうすぐお茶入るから、ちょっと待っててね~。
今日は昨日みたいに食べ過ぎないでよ?毎日毎日、ホントよく飽きずに食べる……
幸村:………。
佐助:な、何?旦那の無言って、妙に怖いんだけど……。
幸村:………いらぬ。
佐助:へ?
幸村:いらぬでござるぅうううううう!!!!(逃)
佐助:だ、旦那!?いらないって何?団子?団子いらないの!?ねぇ!(追)
幸村:むぅ……。
佐助:旦那~。
幸村:さ、佐助!?み、見つかったでござる!
佐助:見つかったって何……?座布団被って、隠れてるつもりだったわけ……?
幸村:うぅ……
佐助:どうしたのさ?旦那が団子いらないなんて。熱は~……無いみたいだけど。
幸村:は、離すでござるよ!具合など悪くないぞ!
佐助:うん、さっきの声聞けば、今日も絶好調なんだろうとは思うんだけど……。
旦那がオヤツ欲しがらないなんて、お館様が引き籠もるくらい有り得ないからさ。
……何かあったの?
幸村:………。何も……ないでござる。
佐助:嘘おっしゃい。そんなへの字口で。……無理にとは言わないけど、
嫌なことあったなら教えてくれよ。猿飛佐助、主の為になら存分に働きますぜ?
幸村:……。
佐助:それとも……俺様じゃ信用ならない?
幸村:……っ!……いや。……本当になんでも無いのだ。
団子とて、単に腹が減っていないだけのこと!
佐助:今思い切りお腹なったよ?
幸村:き、気のせいでござる!兎に角、放って置いてほしいのだ(逃)
佐助:え………?な、なんで……?
佐助:とりあえず、夕飯の支度をしますかね。
幸村:待て、佐助。今日は既に夕飯は食べ終わっておるぞ。
佐助:へ……?そうなの?
幸村:お館様から饂飩をいただいたのだ。佐助の分は取ってある。食べると良いぞ。
佐助:旦那が……作ったの?
幸村:流石に、茹でるだけくらい出来るでござる。
佐助:あ、ありがとう……。滅茶苦茶伸びてるけど……(呟)
幸村:越後の軍神殿に伝えたき議がある故、某は部屋にて文を書いてくるぞ。
佐助も、早う夕餉を食して寝るがよい。(去)
佐助:うん……。なんだ、先に食べちゃったのか……。
早めに帰ってきたつもりだったんだけどな……。
佐助:あ、洗濯物忘れてた!夜干しすると湿気っちゃうんだよな~
早いトコ取り込まないと……
幸村:佐助ぇええええええ!!!!(走)
佐助:旦那?部屋に籠もるんじゃなかったの……?
幸村:取り込まなくて良い!
佐助:なんで……?
幸村:じ、自分のものくらい、自分で取り込むが武士たるものだ!
佐助:そ、そうかなぁ……?
幸村:兎に角!某は自分で仕舞う故、佐助は早う夕餉を食べて参れ。
佐助:そんなに押すことないでしょうが!何で焦らせるの?
幸村:良いから早く行くでござるぅうう~……!!!
佐助:あ~あ……また部屋の壁に穴開けて~……。
信玄:己が力で壁を越える気合いなくして、男子とは呼べぬぞ佐助!ふっはっは!
佐助:越えるのは結構ですが、突き破らないで下さいよ……。
また真田の旦那と殴り愛ですか…?板と木槌……何処にしまったっけな。
幸村:うぉやがだざぶわぁああああああ!!!!!!(走)
信玄:む?
佐助:あ、旦那……。
幸村:佐助もおったのか……。何をしておるのだ?
佐助:何って……壁の修繕だよ。こんな大穴空いてちゃ、寒くてしょうがないだろ?
幸村:よ、良いのだ!これはこのままにしておくでござる!
佐助:なんで……?ここ旦那の部屋だよ?この状態のまま寝るつもりなの?
幸村:そのぉ……最近暑くなってきたので、風通しを良くしようと思ったのだ。
佐助:だったら襖開けりゃいいでしょうが!
幸村:むぅ~……良いと言ったら良いのだ!その木槌は某に渡すでござる。
佐助は早う夕餉を食べて参れ。
佐助:もう食べたっての。……ねぇ、旦那?何かあっ……
信玄:未熟者がぁああああああああ!!!!!(殴)
幸村:ぐはぁあああああっっ!!!!(飛)
佐助:……。
信玄:熱さから涼しさに逃げる等、それでも武田につかえる者か幸村ぁ!
幸村:お館様ぁっ!この幸村、慢心しておりました!熱さを忘れるなど、恥ずべき行い!
信玄:熱き時こそキムチ鍋!
幸村:炬燵で饂飩!
信玄:サウナでカラオケ!ウォームビズ!
幸村:燃え滾るぁあああああああ!!!!!(走)
佐助:ちょ、旦那!?何処行くの!?
信玄:走れ幸村!お前の辿り着くべき場所は、まだまだ彼方ぞぉおお!
佐助:いや、あの………。
信玄:時に、佐助。
佐助:うわ、吃驚した!……音もなく背後に回るのやめてくださいよ。
信玄:お前は、事の真意を悟っておるのか?
佐助:は?悟り?俺様忍であって、修行僧じゃないんだけど……?
信玄:成る程。分かって居らぬようだな。
佐助:何すか、その不敵な笑み。
信玄:お主もまだまだ未熟だのう。精々修行に励むことだな。とぅ!(飛)
佐助:あぁぁっ!天井にも大穴がぁぁあ!!!………やれやれ(溜息)。
佐助:あ~あ……また脱ぎ散らかして……。あ。この着物破けてるじゃないの~。
裁縫箱裁縫箱っと……。
幸村:さ、佐助!?まだ起きておったのか……
佐助:旦那こそ。明日起きられなくなるよ。早く寝な。
幸村:某は厠だ。………何をしておるのだ?
佐助:これ。何処に引っ掛けてきたの?ちょいと縫ったら、俺様も休ませてもら……
幸村:駄目でござる!
佐助:………!?な、何が……?
幸村:それは流行の「ふあっしぉん」でござる!縫ってはならぬ!
佐助:ファッション、ね。言えてないよ。
幸村:む……政宗殿に教わったのだが……(沈)兎に角、返すでござるよ!
佐助:何もそんなに引ったくらなくても……。
幸村:あ、それから佐助。
佐助:………?
幸村:明日の外出のことだがな。
佐助:ああ、仕事で隣町の何とかって商人に会うってやつ?
安心しなよ。ちゃんと付き添わせていただきますって。
幸村:いや、付いてこなくて良いでござる。
佐助:………………………………へ?なんで……?
幸村:近場であるし、仰々しい護衛も必要なかろう。
佐助:そ、そう……。あ、でも俺様今日一日留守してたから、部屋散らかってるでしょ?
簡単にでも掃除をしてから寝……
幸村:入るな!
佐助:っ!!!
幸村:これから某の部屋に無断で入ることは禁ずる、良いな!?
佐助:だ、旦那……?
幸村:今日も一日、ご苦労であった。(閉)
佐助:………。あの……俺様、何か気に障ることでもしました……?
――毛利家
政宗:Hah~?反抗期ィ~?
佐助:昨日帰ったら急に、さ……。団子はいらない、触るな、入るな、近づくな……。
あまりに突然で、俺様もうどうして良いやら……(沈)
元親:まぁ、幸村も一応思春期だからな。
元就:どうも幼く見えるがな。
政宗:思春期ねぇ~。その内、「オカンと同じ洗濯機は嫌だ!」とか言い出すのか(笑)?
佐助:竜の旦那……人が真剣に悩んでるのに笑わないでくれる?茶菓子没収しようか?
政宗:そう苛つくんじゃねぇよ。成長の証とでも思って、見守ってやりな。
元親:しかしまぁ、話を聞く限り、あからさまに避けられてるもんな。
そりゃへこむのも無理ねぇぜ……。
佐助:ストレートに「避けられてる」とか言われると、余計へこむんだけど……。
元就:……解雇?
佐助:オクラの旦那ァアアアっ!!!さらっと恐ろしい単語呟くの止めてくんない!?
元親:けどよぉ、あの幸村だぜ?本当に反抗期なのかぁ?
政宗:どういう意味だ?
元親:思春期特有の、複雑な感情を持ってるように見えねぇんだよ。
反抗しようと心に誓ったとしても、団子をぶら下げられりゃ忘れちまいぞうだぜ。
元就:確かにな。
佐助:さり気なく馬鹿にすんのも止めてよ。
元親:猿飛、お前何か嫌われるようなことでもしたんじゃねぇのか?
佐助:身に覚えがない。
政宗:葱を傷物にしたとか。
元親:フィギュア壊したとか。
元就:捨て駒として切り捨てたとか。
佐助:自分達の基準で考えるなっての……。そもそも昨日の朝は普通だったんだよなぁ。
布団引っ剥がして、起こして、顔洗わせて、朝ご飯食べさせて、
昼ご飯を作り置きして、整理した書類を渡して、洗濯物干して、
殴り愛を止めさせて、寝癖直させて、オヤツ隠して、火の元見て、
夕方には帰るからって出かけて……ほぼ丸一日留守にしてたんだけど。
政宗:壮絶だな……お前の朝。
佐助:見送ってくれたときは違和感なかったし、留守中じゃ嫌われようがないだろ?
……あれ?今何時?
元親:あ~……2時前だな。
佐助:げ!(立)そろそろ帰ってオヤツ作っておかないと、腹減ったって騒ぎ出……って、
今日は旦那出かけてるんだっけ……(座)
政宗:染みついた習慣か……。
元親:賞賛に値するぜ……。
佐助:たまに自分でも何なのか分からなくなるよ……(遠い目)
元就:①忍ぶこと。②そっと敵中に入り込む術。③敵陣・他家に忍び入って様子を探る者。
佐助:オクラの旦那ァアアっ!「忍」を辞書で引くの止めてくんない!?
政宗:まぁそう悩むなよ。案外虫の居所が悪かっただけかもしれねぇぜ?
元親:帰ったら、すっかり忘れて「団子くれ!」って寄ってくるだろうよ!
佐助:だと良いんだけど……いや、良くはないんだよ!俺様忍なんだから!
元就:解雇されたらその時はその時だ。我が捨て駒として登用してやらんこともない。
佐助:うん、絶対御免だよ。
佐助:只今帰りました~………。
――………。
佐助:うちが静かだと妙に不気味だなぁ……。時間的には旦那達も
もう帰って来てるはずなんだけど………うわ!何これ!?
信玄:おぉ、佐助。帰ったか。
佐助:何なんすか大将!これ、これ!
信玄:畳だな。
佐助:「畳だった物」でしょうが!めくれてるわ、穴空いてるわ、焦げてるわ!
室内で戦でもしたのかって惨状じゃないの!
信玄:わ、儂知らんもん……。
佐助:可愛く言わない!この建物内にいて気付かない筈ないでしょうが!
何があったん……ぎゃぁあああああ!!!炊事場がぁああああ!!!
信玄:黒いのう。リフォームでもしたのか?
佐助:焦げてんですよ!煤、煤!まな板真っ二つだわ、壁に包丁突き立ってるわ!
事件現場以外の何物でもないよこれ!………あ。
信玄:どうした?
佐助:あの物干しで風に揺られてるボロ切れ……何?
信玄:ふむ。元は着物であったことが辛うじて分かるな。
佐助:俺様の一張羅ぁあああああっ!!!!!
信玄:佐助のか?
佐助:そーですよ!あぁぁ……なんて無惨な姿に……。
信玄:縫えばなんとか着られるのではないか?
佐助:そういう問題じゃないでしょう!どうなってるんだよ、これ!
信玄:だから、儂は何も知らぬと……
佐助:………。
信玄:そ、そんな怖い顔をするでない……。ただ儂は、幸村の思いを受け止めてだな……
佐助:旦那……?
信玄:お!いかん!口が滑った!
佐助:旦那が何!?旦那が全部やったの、これ!?
信玄:儂は何も知らぬ~♪(逃)
佐助:あ、ちょ、大将!……ったく、あの図体でなんつー俊敏な動きを……。
それにしても、これ……旦那がやったってこと……?
部屋で暴れて、炊事場壊して、着物引き裂いて、それを晒して………って、
俺様其処まで嫌われてる……?(汗)
幸村:お館様ぁああ!!!この幸村、果たして見せましたぞ!!!もう間もなく……む?
佐助:旦那……
幸村:さ、佐助……。………。(逃)
佐助:ちょ、ちょっと待ってよ!なんで逃げるのさ!(追)
幸村:付いてきてはならぬぅううううう!!!!(閉)
佐助:部屋に逃げ込まれた……。旦那!どうしたんだよ!?この惨状は何!?
幸村:…………。
佐助:ここ開けてくれよ!ちゃんと理由を聞かせてくれって!
幸村:…………。
佐助:………っ。……旦那、何か怒ってるの?これって……俺の所為?
幸村:………。
佐助:いろいろ考えたけど分からないんだって。何で避けるんだよ……?
俺、何か気に障るようなことした?
幸村:………。
佐助:それとも、俺、遠回しに………「いらない」って、言われてるの……?
幸村:………。
佐助:………。それならそれで…………いいんだけどさ。
――再び毛利家
政宗:で、恰好つけて出てきた訳か。
元就:まぁそれはそれで構わぬが………人の家で管を巻くのはやめてくれぬか?
佐助:オクラの旦那が拾ってやるって言ったんだろ~?ねぇ、これ本当に梅酒?
本当は水なんじゃないの?全然酔えないんだけど~……。
元親:リストラされたサラリーマンみてぇ……。
元就:いい加減にせぬと、問答無用で放り出すぞ。
佐助:また放り出されるのか~……本当に行くところなくなっちゃうね、へへ(乾)
政宗:お前な……。大体、解雇してやるって言われた訳じゃねぇんだろ?
佐助:似たようなもんじゃな~い?会話するのも嫌みたいだしさ~。
……そりゃあさ、俺様は武田に不可欠な存在だなんて、図々しい事は思ってないよ?
忍がいらなくなるってことは、戦乱が終わったってこと。だからそれは、
喜ばしいことだって、思ってるよ……。けど……けどさぁ!これは……!
これは何か違うじゃん~っ!(伏)
政宗:いつまで同じこと愚痴ってんだよ!反抗期つったのは自分だろ?
時間がたてば、元に戻るだろ。
佐助:うぅ……。
捨て駒:元就様。
元就:何用だ。
捨て駒:お客人にございます。お通ししてもよろしいでしょうか?
元就:客だと?今はただでさえ面倒な状況なのだぞ。帰らせろ。
捨て駒:はっ……しかし……。
幸村:元就殿!邪魔するでござるよ~!
元就:む?
元親:あ。
政宗:Ah~……
佐助:旦那!?
捨て駒:こ、困ります!勝手に上がられては……
幸村:すまぬが急いで居るのだ!ここに佐助は来て居らぬか?……む?
佐助:………。
幸村:何をして居るのだ佐助?座布団など被って。
佐助:いや、その……咄嗟に隠れる場所がなくて……。
幸村:……?よく分からぬが、急いで帰るぞ。早う立て。
佐助:へ……?帰るって……?
幸村:ぼやぼやしている暇はない。三分で帰るぞ!元就殿、お邪魔したでござる!
元就:う、うむ……?
佐助:いだだだっ!!!ちょ、腕引っ張んないで!三分帰るって何!?
ここから甲斐まで三分なんて、サンダーバードでも無理……
幸村:気合いで走るでござるぁあああああああ!!!!!(走)
佐助:ぎゃああああああああ!!!腕っ!もげっ……!無茶だってばぁあああああ!!!
元親:うわ~……痛そうだぜ……。
政宗:なんだってんだよ……?
幸村:到着!ちゃんと三分で着いたでござろう!(ふんぞり)
佐助:はぁ……はぁ……二次元って………便利だよね……。
幸村:それより某の部屋へ急ぐのだ!走るぞ佐助!
佐助:ちょ、痛……離してってば!何なの!?来いって言ったり来るなって言ったり!
もう……いらないんじゃなかったのかよ……。
幸村:何の話でござるか?
佐助:だ、だから……旦那、部屋に籠もったきり……話もしたくない……みたいな……
幸村:話……?おぉ!そういえばさっき、襖越しに何か言っておったな。
すまぬが某は鰯と闘いに集中していた故、よく聞いてなかったでござる。
佐助:は……?鰯……?
幸村:だから急がないと冷めてしまうのだ!早う来い、佐助!(引)
佐助:あだだだ!痛いっての!冷めるって何が!?
幸村:(止)佐助。元就殿の所で、夕餉は食べて居らぬか?
佐助:夕餉?飲みはしたけど、食べ物は貰ってないよ……?
幸村:ならば良い!さぁ、遠慮無く食すが良いぞ!(開)
佐助:なんで部屋の真ん中に、鍋と……釜?
幸村:炊き込み御飯と、鰯のつみれ汁でござる♪力作でござろう!
佐助:え……?作ったの!?旦那が!?
幸村:うむ!しかし鰯はまことに小骨が多く、手強い相手でござった……。日を跨いでの
大仕事になってしまったぞ。佐助の好物は、手間が掛かるでござる。
佐助:いや、確かに好きだけど……これ、何か黒いよ?
幸村:お焦げが好きだと言っていたであろう?
佐助:お焦げのレベル越えてる気もするんだけどなぁ……。
幸村:佐助。
佐助:……?
幸村:そなたは毎日、とんでもない強敵と闘っていることがよく分かったでござる。
佐助:強敵……?
幸村:掃除をせんとすれば、桶に躓き水浸し。乾かそうと烈火を繰り出せば
畳に燃え移ってあわや大惨事。
佐助:当たり前だよ!何やってんの!?
幸村:炊事場に立てば、力加減が分からず、まな板がかち割れ、
洗濯に脱水せんと着物を絞れば、脆くも千切れる始末。
佐助:おいおい………。
幸村:裁縫しようとすれば、案の定針を突き刺し、壁の穴を塞がんとすれば
木槌で己が指を叩き潰す。戦場並みに、気が抜けぬでござる。
佐助:ちょ、指すんげぇ腫れてるじゃないかよ!貸して、手当してあげるから!
幸村:なんのこれしき、唾付けとけば治るでござる。
佐助:治らないよ!あ~あ……もう……。
幸村:………。結局、某には何も出来ぬのかとも、思ったでござる……(沈)
佐助:………?
幸村:「どんな苦境でも己の力を信じ、道を切り開け」とは、お館様の教え。
某は、己の力を信じられる武士でありたいと思う……だが、
某は佐助に頼りきりでござる。己の力のみでは、継ぎ当て一つ出来ぬのだ。
このままではいかん。何とかせねば!そして某は、佐助に頼らず、
己が力で生活すべく立ち上がったのでござる!
佐助:………。え?………何?ひょっとして……炊事洗濯とか、俺様が普段やってる事を
自力でやろうとしたって、そういうオチ……?
幸村:佐助は気付くと何でもやっておいてしまう故、秘密裏にことを運ばねばと思ってな。
しかし難しい上、団子も食べられぬとあって、なんとも辛い修行でござ……
……どうした佐助?急に寝転がって。眠いのでござるか?
佐助:全身の気力が抜けただけです……。
幸村:……?兎に角!掃除、洗濯、裁縫、修繕、全てに敗北した某に残された道は一つ!
この夕餉だったのでござる。さぁ、冷めないうちに食べるでござるよ!
佐助:え!?こ、このまま!?鍋と釜から直接食えってか……。
幸村:沢山あった方が良いと思って作りすぎたのだ。全部入る器がない。仕方なかろう。
佐助:え~……なんかお行儀悪くない……?
幸村:………。
佐助:そ、そんな顔で見ないでよ……。食べる!食べますって!
い、いただきま~す………。………?……………あ。……美味しい。
幸村:誠でござるか!
佐助:うん!すっごい美味しいよ、これ!……本当に旦那が作ったの?
幸村:し、失礼でござるな……。女中達に頼み込んで教わったのだぞ。
佐助:御免、冗談(笑)でも、本当に美味しいよ。ありがと、旦那。
幸村:うむ♪苦労した甲斐があったでござる!
佐助:………。
幸村:……?どうしたのだ?
佐助:…………。なんつーか、ホント………馬鹿だねぇ。
幸村:ば、馬鹿とはなんでござるか!某は死力を尽くして闘いを……
佐助:旦那がじゃないよ(笑)……そっちのつみれ汁も貰っていい?
幸村:む?おぉ!勿論良いぞ!
佐助:………。
幸村:どうでござるか?
佐助:……美味しい。
幸村:うぉおおおお!!!やりましたぞ、お館様!真田幸村、最後の最後で
家事に逆転勝利をおさめましたぞぉおおおおおおお!!!!!
佐助:これからは旦那に全部任せても大丈夫かな~♪
幸村:う、い、いや……それは……
佐助:冗談だって(笑)明日からはまた、俺様にお任せ下さいな。団子も食べたいでしょ?
幸村:うむ!やはり佐助の団子が一番旨いでござる♪
政宗:そんなこったろうと思ったぜ……。
元就:わざわざ見に来たのが、果てしなく馬鹿らしいのだが。
元親:あ~……旨そぉ~……(羨)
政宗:なんで心配してやってる俺達が、こんな所で腹ならしてなきゃならねぇんだよ。
なんか旨いもんでも食いに行こうぜ。
元親:とびきりの上物をな!寿司!寿司食おうぜ!
元就:我は炊き込み御飯が食べたい……
政宗:馬鹿!影響されるんじゃねぇ!そんなもん食ったら、
なんか侘びしい気分になるのが目に見えてるじゃねぇか!
佐助:あのぉ~……其処の草陰に居るお三方。それ、隠れてるつもりなの?
早く出てこないと、曲者としてとっ捕まるよ。
元親:げ。ばれてやがるぜ……。
政宗:ちっ……。
元就:何が捕まるだ、愚か者め。元はと言えば、貴様の所為であろう。
佐助:はいはい、御免なさい(笑)
幸村:政宗殿、元就殿、元親殿!?どうしたのでござるか?
政宗:いろいろあるんだよ、大人には。
元就:それより腹が減った。真田、何か食わせろ。
幸村:夕餉がまだでござったか!丁度良い、一緒に某の力作を食べるでござる♪
元親:おぉ!くれんのか!?
元就:ふむ、では馳走になるとするか。
幸村:佐助、鍋を貸してくれ!
佐助:………。………他のものじゃ……駄目?
政宗:Ha?
佐助:ほ、ほら、寿司でも天ぷらでも、好きなもの作ってあげるからさ!
みんなは何か、これ以外のものにしない?
元親:ケチケチすんなよ!独り占めしたって、どうせそんな量一人じゃ食えねぇだろ?
佐助:べ、別に俺様が貰ったんだから、いいでしょうが……。
元就:よくない。寄越せ。
政宗:元就、ここは察して遠慮してやれ。
元就:ちっ……
政宗:お前も、そんな過保護じゃ、実際の反抗期は乗り切れねぇぜ?
佐助:うっ……。精進します……。
元親:もう何でも良いからよぉ~、腹減ったぜ……。
政宗:そうだな。じゃあ佐助、酒と牛蒡天と唐揚げ、あと蛸わさと焼き鳥頼むぜ。
佐助:竜の旦那が一番遠慮知らないよね……。
幸村:ふぅ~、満腹でござる~。
佐助:それにしても旦那。自分の力でなんとやらって大将の言葉は、
もう随分前に言われた物だろ?なんで今、突然家事やってくれたり
俺様に夕餉を作ろうなんて思ってくれたの?
幸村:決まっておろう。
佐助:……?
幸村:今日は母の日でござる。
佐助:あ~、成る程ね~………………………………って、…………え?
――オカンに、日ごろの感謝を込めて。
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