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戦国BASARAの二次創作文。 政宗、幸村、佐助、元親、元就が中心。 日々くだらない会話をしてます。
Posted by - 2025.01.22,Wed
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Posted by 今元絢 - 2009.07.14,Tue
アンケート5位・甘味(元就と旦那)分・阿呆使用

・甘味が気持ち悪いほど出てきます。

轟音が響いた。
朝靄と絡むように、黒煙が舞う。
切れ切れに届く日の光が、戦場に不似合いな程、非道く美しかった。

「何故だ……何故……真っ黒に……」
無惨な姿の茶巾卵を手に取り、絶望にうち拉がれる。
電子レンジで温めてみようと思っただけだというのに、
何故このような惨い仕打ちを受けなければならないのだろうか。
「元就様。」
陣幕の外から声がした。兵が報告に来たらしい。
今は、それどころではないのだが……。
「西砦は大破。誘き寄せに成功し、敵方被害甚大にございます。」
「そうか。ならば戦はそろそろ終わるな。『小休止』に行ってこい。」
「はっ……?小休止?よろしいので……?」
「愚か者めが……小休止と言えばミニストップにきまっておろう!
 チョコサンデーを買ってこい!」
「いやですが……いま、戦中……」
「言い訳を並べる暇があったら、さっさと行け。
 どうしても動けぬと言うのなら、今この場で暇をくれてやる。」
静かに、弓月形の刃を宛がう。兵は喉の奥から、曇った声を漏らした。
「い、行きます、行きますってば!俺もオロナミン買ってきたいし……」
その言葉に、眉を顰める。
「貴様……よもやおつりは貰えるなどと思っているのでは無かろうな?」
サンデーは柔らかさが命。だが、その分溶けやすいのだ。
下らぬついで買いなど、している暇はない。此奴はどこまで浅はかなのだろう。
緻密に組まれたサンデーのタワーを、オロナミン如きのために崩す言うのか。
「何とも、見上げた心がけだな。」
「も、申し訳ございませぬ!全ては、全ては私めの戯言にございます!
 おつりは元就様のものです!」
己が言葉を発するより早く、傍らに控えた者達が、兵を両脇から抱えた。
そのまま陣の外へと連れ去っていく。
「さっさといって来い。」
強さを増した風が、煤になった茶巾卵を浚っていった。

――

「我も焼きが回ったものよ……」
自嘲的に呟くと、傍らの兵が、何か言いたげに口を開く。
視線を向けると、直ぐさま「すいません」と呟いて、隅に縮こまった。

山の深くにある、寂れた茶屋。
本当は最近はやり出したという、話題の店に行く予定だったのだが、
愚かな兵に予約を頼んだばかりに、「実は予約できていなかった」という憂き目にあった。
三時間待ちでは、仕事の関係上待つことは出来ない。
仕方なく、町外れで見つけた茶屋で腹の虫を治めようとしているのだ。
何の捻りもない胡麻団子を待つだけとは、何とも情けない。
しかし、そろそろ空腹も限界だ。甘味を食さねば、歩くことすら儘ならぬ。
同じ空間にいるのが居たたまれぬとでも言うように、庭先の雀より怯えているこの兵は
先程からおしぼりを弄るだけで、何も考えていないらしい。
本来なら、予約を取りそびれた時点で日輪に捧げ奉ってくれるのだが、
腹が減りすぎて、そんな気も萎えていた。
「おい、貴様。」
兵はびくりと肩を振るわせた。
「いくら何でも遅すぎる。厨房の様子を見て来い。」
兵はきょときょとと辺りを見渡した後、自分の鼻先を指さした。
「貴様以外に誰が居る。」
「あの……し、知らないんですか?ここの主人、滅茶苦茶怖くて……
 立ち入り禁止の厨房なんかに入ったら、何をされるか……」
何奴も此奴も、何故いちいち苛立たせるのか。
輪刀に手を掛けると、兵は慌てて手をばたばたと振る。
「いいいいい行きます!行きます!行ってきます!」
そして足音も騒がしく席を立った。

――まぁ、どちらでも良いが。

少々早く来た所で、今日の気持ちは「スペシャルイチゴパフェ」ただ一つだったのだ。
しかし、この店にあるのは、胡麻団子、みたらし団子、餡団子。
お品書きに其れしかないなら、それに従うしかないのだから。
そして静かに、目を閉じた……
「も、元就さまぁああああああ!!!!」
………のは一瞬だった。
騒々しい声と、殆ど転げるように席に着く音に、束の間の微睡みは弾き飛ばされる。
「…………なんだ。」
非難するのも馬鹿らしくなって、問い返す。
兵は口を落ち着き無く開閉してから、やっとの思いで声を絞り出した。
「全部食べたら無料ですってよ!」
そう言って兵が突き出したチラシには、「巨大団子、30分で間食したらタダ!」とある。
「………。……そうか。」
「そうかって……嬉しくないんすか!?やらないんすか!?」
「愚か者め……。甘味とは、心静かに味わうものぞ。大きな菓子は悪くないが、
 ただ大きさばかりにこだわっても、品性という物がない。
 このような物、愚か者を釣るための餌に過ぎぬわ。」
「け、けど、元就様ならきっと出来ると思って……」
「甘味を何だと思っている。甘味とは……いわば宇宙よ。何億光年という遠き距離に……」
「あ、ああ!そのお話は、またあとで!兎に角、あっちでやってる紅揃えが
 すんげぇ食ってんですよ!こりゃあ負けられないと思ったんで。」
「紅揃え……?」
はたと、動きを止める。
「紅………。」
そういわれて、思い当たる者。
その姿を思い浮かべ、名が口を次いで出るより先に、ひょこりと、顔が覗いた。
「も?ふぉなははんあはるのは?」
薄暗闇に慣れた目に、一際映える紅。
口が満員御礼で、全く何を言っているのか聞き取れない。
「真田……」
安堵以上に、呆れをふんだんに含んだ呟きを漏らすと、
相手はもともと丸い目を、さらに丸くして、素っ頓狂の見本のような声を上げた。
「も、もほはりほのぉ!?」

真田は漸く団子を飲み下し、餡に塗れた顔で笑って見せた。
「お久しぶりでござるなぁ!」
問うてみるのも阿呆らしいが、一応、訊かねば成るまい。
「その………何なのだ?」
「………む?ご心配には及ばぬぞ。これ位なんともないでござる。」
真田は微かに膨れた腹を、ぱしぱしと叩いて見せた。
「誰も心配などしておらぬわ。何をして居ると訊いているのだ。」
真田は目を瞬かせた後、油断無く周囲を見渡した。
そして声を落とし、箸を開閉しながら硬い表情で言った。
「くれぐれも佐助には内緒にしていただきたいのだが……記録に挑戦して居る。」

真田の飯は、徹底して管理されている。
あの「母親」が、こんな挑戦を許すはずがない。
供も連れていないことからして、恐らく勝手に城を抜け出してきたのだろう。
「このチラシを見て、戦いを挑まずにおれようか!巨大団子、相手にとって不足なし!」
「その割には、あまり減っていないようだが?」
真田の頬が、ひくりと引きつった。
「全く……面目次第もござらぬ……。完全なる読み違いでござる……」
「読み違い?」
「某、無論餡子も好物にござるが、団子に関してはみたらし派でござる。」
「……ほう。」
「しかしこの巨大団子、まず餡団子なのだ。」
「そのくらい、事前に調査すべきであろう。」
「確かに、それだけならまだ、某も戦うすべは残っていた。しかし驚くべき事は二つ目!
 この団子………団子ではないのだ。」
真田はそのバスケットボール大の団子をむにむにと突きながら言った。
「団子では……ない?」
「団子のナリをしているが、実は大量のふくらし粉を投じたカルメ焼きなのだ。」
「……。」
確かに、白いその「身」は、もちもちしていない。
砂糖を膨らました菓子「カルメ焼き」に、大量に掛かった「餡子」の山。
まさに、砂糖に埋もれて死ねと言っているようなものだ。
「それは……詐欺ではないのか?」
「『こんな大きさの団子があったとして、茹でても焼いても火が通りませんから』
 などと言われたら、納得するしかありますまい!」
そうだろうか……?
「しかし、この団子。腹の中で膨らむ膨らむ!流石に苦戦を強いられていたのだ……。
 して、元就殿は、何用でこのような場所に居られるのだ?」
真田のやたらと大きな目が、ずいと此方に近付いた。
顔をしかめ、背をそらせて距離を取る。
「…………。………甘味屋に来たら、することは一つであろう。」
「ご主人!確か挑戦者は、三人までのグループでと言うことであったな!」
甘味屋の主人は、にやりと笑んだ。
「おや、お武家様。一人でも十分よ……ではなかったんですかい?」
「う、うぐっ……だ、だが、ルールには反して居らぬ!」
主人は真田を見、次に我を見て――鼻で笑った。
「いいでしょう。助っ人、許しますよ。ただし食べきれなかったら、
 約束通り皿洗いしてもらいますからね。」
此奴、金も持たずに来ていたらしい。
「……と言うことは、食べきれなければ我も皿洗いと言うことか!?」
「元就殿!何卒、何卒お助けくだされ!某、皿洗いまでしていて帰りが遅くなれば、
 勝手に出歩いたことがばれてしまうのだ!
「そんなこと……」
知ったことかと言いかけて。主人の顔が目に入った。
あの、小馬鹿にしたような表情。
此方の体型を見て取って、食べきれぬと決めつけているあの視線。
「許せぬ。」
真田の顔が、ぱっと輝いた。
「協力してくださるか!」
「食えば良いのであろう!食えば!」
箸を取り(そもそも箸で食わねばならぬ団子自体、納得がいかぬのだが)、口に頬張る。
予想通り、えげつないほどの甘さが、口中に広がっていった。
「も、元就様ぁ。三人ってことはもしかして……俺も食うんすか?」
「逃げる気か……?」
「く、食います食います!」
兵は慌てて箸を取った。

「減らぬな……」
餡を箸で持ち上げ、すぐに下ろす。そろそろ限界が近付いていた。
背後で「けぷっ」と、間の抜けた音がした。
「下品な返事をするな。」
「だが……腹が偉いことになっておるのだ……」
真田はまるまるとした腹を撫で、どんよりと言った。
兵は同じような表情で、真田の腹を眺める。
「はち切れんばかりですね~……」
「……貴様等、それでも甘味に魅入られし者か。この甘く香しいものを思えば、
 残すなどと言う勿体ないことは……」

………けぷっ。

「………。」
「無言で手を差し出すな!同志ではない!」
真田は、残念そうに手を引いた後、ぴくりと身を震わせた。
「何だ?」
「思い出したのだ!」
意味が分からぬ此方を捨て置き、懐をごそごそし始める。
「あったぁ!」
そして取り出したのは、赤い弁当箱であった。蓋を開くと、飴色の液体が詰まっている。
「なんだそれは……?」
「みたらしにござる。今朝の残りを10時のおやつ用にくすねたのだが……忘れておった。」
「そんなものをどうする気だ?これ以上食い物を増やしてどうする。」
「満腹感は徐々に薄れ行くもの。某達が苦戦しているは、量よりもまず甘さの極み。
 ならば!」

真田は………みたらしの香りを深く吸い込んだ。

「しょっぱい香りがあれば、それをおかずに甘い物がいけるでござる!」
「………。………そうか?」
あまり同意は出来ないが、皿洗いなどと言う屈辱を逃れるため、頼みの綱はこれしかない。
みたらしの香りを吸い込み、餡団子を口にする。
「ほぅ……なかなか行けるものだな。」
「そうでござろう♪」
再び箸を進める我等の横で、捨て駒だけが一人、戦慄の表情を浮かべていた。

「なんだか苦しそうに食べてるねぇ。……そうだ!
 もっと美味しく食べられるようにしてあげよう!」

どざああああ……
団子屋の主人の手から溢れ出でたもの。
それは……粉砂糖だった。
誰も、何の言葉も発しなかった。
「………。」
思わず輪刀を手に、すぱっとやってやろうと襟首を掴んでみたが、
団子屋の主人は悪びれもせず、にんまり笑いながら言った。
「お武家様方、甘い物がお好きなんでしょう?サービスでさぁ。」
「何がサービスだ!貴様……今更完食されるが恐ろしくなったのであろう!」
「……へっ。そりゃあな。完食されちゃ、こっちも商売あがったりだ。
 けど……粉砂糖のおかわりサービスは、うちの店でいつもやってること。
 反則呼ばわりはさせねぇぜ。」
「ぐっ……。」
理に適っていないが、こうしている間にも、刻一刻と制限時間が近付く。
「安心しな……これ以上増量はしねぇ……。ま、これが食えたらの話だがな。」
団子屋の主人は、高笑いを上げた。
「………元就殿。」
背後に真田の声がした。
「道は一つ。完食しかあるまい。」
「し、しかし元就殿……」
「ああぁぁぁあああああああああああああっ!!!!」
背後で、悲鳴が爆ぜた。
捨て駒だ。その顔は、半分まで餡に埋もれていた。
「……もう……餡子……みたくも……ね………うっ!」
そのまま兵は動かなくなる。
「おや、一人脱落だねぇ。」
団子屋の主人は、不敵な笑みを浮かべた。

「負けを認めろ……とでも言いたいのか?」
頬の餡を拭いもせず、団子屋の主人に向き直る。
主人は、何が言いたいとでも言いたげに、眉を顰めた。
「確か……茶はいくらでもおかわり自由であったな。」
「そうだぜ?」
「では持って参れ。盥一杯の、茶をな。」
主人は怪訝な表情をしながらも、厨房へ茶を取りに行った。
「もっ、元就殿……!?これ以上腹に入れるものを入れてどうするのだ!」
真田は不安そうに厨房を見やった。
「甘い。」
口を拭いながら、告げる。
「食すことが出来ねば、飲み干せばよい。」
真田の目が、さらに丸くなる。
「だ、団子でござるぞ?噛まなければ飲むことなど……」
「彼の団子……何で出来ていると言った?」
言われて、真田ははたと止まる。
「カルメ焼き……ふくらし粉を使っているとはいえ、元は砂糖の粉。
 本物の団子ではそうはいかぬが……餡も砂糖も………
 水に溶ける。」
真田は答えなかった。主人が茶を注ぐ音だけが、店内に響いていた。
「良いか真田。止まるな。どんな味となろうと、決して止まるな。
 下品も何も、この際考えるな。我が許す。一気に飲み干せ。」
「うぉおおおおおおおおおおお心得たぁあああああああああ!!!!!」
そして、主人の持ってきた茶に、団子を叩き落とした。

「……大丈夫かい?」
団子屋の主人が、水を持ってきた。
だが、もはや水の一滴すら入るスペースはない。
真田と共に、全ての団子を飲みきったは良いが、
そこから一歩も動くことが出来なかった。
籠を呼べばよいのかも知れないが、今は上下動に耐えられる自信がない。
「いやぁ~、アンタ等の根性には参ったよ。土産に胡麻団子、付けておくからね。」
「………~~~~っ。遠慮する。」
畳に伏したまま、声を上げる。当面団子は見たくもない。
真田は横に転がり、うつらうつらしていた。
皿洗いをしていたら時間が掛かる。城の者にばれる……だのと言っていた気がするが、
このまま寝ていて良いのだろうか?
「ああ、このお武家様のことなら心配いらないよ。もうすぐ迎えが来る頃だから。
 さっきちらっと様子見に来てたしさ。」
迎え……大方の予想は付く。
「母親」の目を盗んだつもりで、盗み切れていなかったらしい。呑気な輩だ。
真田は捨て置いても問題ないと分かったが……さて、己はどうして帰ったものか。
「元就様ぁ~。」
捨て駒の声がした。何とはなしに腹が立ち、返事はせずに視線だけ向ける。
「そ、そんな怖い顔しないでくださいよ。」
「黙れ。一人だけ逃げ出しておいて涼しい顔をしおって。」
「いや~、人間の腹って凄いっすね。あんなに死にそうだったのに、
 暫く失神してたらちゃんと消化しましたもん。」
「~~~~っ。」
普段なら焦がしてやるところだが、生憎起き上がることもままならない。
情けないことに、捨て駒に心配そうな顔をされる始末だ。
「やっぱり動くの辛そうですね。じゃ、呼んできます。」
「……呼ぶ?誰をだ?」
「丁度通りかかったんで、慌てて掴まえてきましたよ。
 『担いで弩九で帰るくらい、どうってことねぇ』って、快く了承してくれました!」
………弩九?
「ま、待て……まさか……」
「だぁいじょうぶっすよ!籠よりは上下動ないだろうし。俺は徒歩で帰りますんで。
 じゃ、呼んできます!」
「ま、待てと言うに!」
その後やってきたデリカシーの無い輩に、
「よぅ!すげぇ腹だな。臨月か?」などと言われて怒り狂ったは、言うまでもない。


 

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