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戦国BASARAの二次創作文。 政宗、幸村、佐助、元親、元就が中心。 日々くだらない会話をしてます。
Posted by - 2024.11.26,Tue
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Posted by 今元絢 - 2008.04.02,Wed

○瀬戸内編「逃亡」

元就:前回は早速の混沌であったな。
佐助:もう話の方向性模索しながら書いてるのがバレバレだよね。
元親:あんまりキツイ事は言わないでやれよ。自覚はあるらしいから。
幸村:今回は元親殿と、元就殿の番でござるな。
政宗:やっぱりお前等は一括りなのか。
佐助:でもどうすんの?二人とも幼少期に会ってるわけ?居住地海挟んでるのに?
元親:その辺はどうでもいいだろ。普段だって、当然のように日本縦断してんだから。
佐助:ま、まぁそうなんだけどさ。
幸村:兎にも角にも、始まりでござるよ~♪


――兎に角、逃げなければ。

女中:若子様~!何処におられるのですか~?
女中:御方様がお探しでございますよ~

だから逃げてるんだろうがよ。

母:見つかりましたか?
女中:申し訳ありません。全力を持って捜索しているのですが……
母:困りましたね……。

困ってるのは俺の方だってんだよ。

母:もっと大量に動員しましょう。なんとしても、弥三郎を捕らえるのです!
  多少荒っぽくても構いませぬ。もうぺぺいっと縛り上げちゃってくださいな。
女中:はっ、かしこまりました!

おいおい。

母:ふふふ……弥三郎?この母から逃げられるとでも思うているのですか……?
  貴方は母が必ず捕らえます。そして……!

そう言って母が取り出したのは、
あまりに見事な、藤色の「振り袖」だった。

母:可愛い可愛いお着物を着ていただきます!!!

嗚呼、頼むからいい加減に理解してください、母上。
俺、男の子なんです……(泣)

姫若子。一体誰が、そんなあだ名を付けてくれやがり遊ばしたのか。
腹立たしいことこの上ないが、言い得て妙だと思ってしまう自分が悲しい。
透き通るような白い肌、風に揺らめく柔らかな髪。子供とはいえ、あまりに華奢な体つき。
初めてあった人間の内八割が「可愛らしい姫様」とお褒め下さった。
その内何人かはぶっ飛ばしたが。

弥三郎:もうこれ以上着飾られてたまるかよ!

そんな我が子を愛でまくる母は、何かにつけて「可愛らしいお着物」を着せたがる。
それが何ともしっくりきてしまうのだ。幼い頃は、何の抵抗もなく着ていたが、
物心が付き、成長するにつれ「あれ?これおかしいぞ…?」という意識が湧いてきた。
正直言えば………「可愛い」と言われることに悪い気はしない。しかし……
武家に生まれ、戦場で活躍せよと言う父の教えと、
いつまでも、可愛くあってくださいねという母の教え。
相反しまくっているそれは、子供の自分をむず痒く、いたたまれない気分にさせた。

女中:若子様~?いずこに~?
母:弥三郎や~!出てきなさいな~!母が嫌いなのですか~!?

いや、寧ろ全力で好きだし、感謝もしている。だが、それとこれとは話が違うのだ。
着替えの最中に逃げ出したため、襦袢姿のままである。
裾をたくし上げ、身を低くして城を抜け出した。

兵士:若子様ぁ~?
弥三郎:げ……。

外にまで追っ手が!?そこかしこに身を隠しながら逃げていく。

――やがて、風に乗って流れてきたのは、大好きなあの香だった。

弥三郎:くああ~

一つ大きく伸びをする。全身を包み込んでいく潮の香り。
やはり、此処は良い。風に乗って、波に乗って、自分は何処へでも行けるような気になる。
叱られたとき、女子に間違われたとき、思うように鍛錬が進まぬ時。いつもこの港に来る。
誰もいない低めの櫓に上り、足を投げ出すと、海の上を飛んでいるような気がした。
此処まで来れば大丈夫だろう。……そう思ったときだった。

女中:若子様~?
弥三郎:マジかよ!?うぉ……!?

聞き慣れた声に立ち上がろうとしたときだった。外れた板に躓き、体勢を崩した。
悲鳴を上げる間すらなく、身体が櫓の外へ転げ落ちる。
まずい。泳げないことはないが、自分は子供。足の着かない海で着衣泳が出来るだろうか?
一瞬走馬燈が流れかけたが、襲ったのは波飛沫ではなく、殴られたような衝撃だった。
ちょうど船が通り、その甲板に落ちたのだ。ひとしきりゴロゴロ転がり、背中を痛がる。
が、そんなことをしている場合ではない。ほら、あの声が、また迫ってきた。

女中:若子様~?何処に~?

手近にあった布を被り、じっと息を殺した。声が近づき……やがて過ぎていった。
どっと息を吐く。さて、逃げ切ったが、これからどうしたものか。
ぼんやり考える頭と、走り疲れた身体を、潮風が撫でていく。それはとても心地よく……

弥三郎:……あ?

目が覚めた。……ということは、自分は眠っていたらしい。
慌てて布をはぎ取り、甲板を駆け出す。

漁師:わ!おめぇ誰だよ!?

通り過ぎた者が声を掛けたが、そんなことに構っては居られない。
船縁にぶつかるように縋り付き、外を見る。

――広がっているのは、何処までも海。見渡す限りの海。

弥三郎:こ、これ……もしかして出港しちまった……とか?
漁師:もしかしなくても、此処ぁ海の真ん中だぞ?

その言葉に、すぅっと血の気が引くのが分かった。帰れない。どうしよう。
ぐらりと崩れるように、その場に倒れ伏す。

漁師:お、おい!?どうしたんだよ嬢ちゃん!?おい!おい!

俺は嬢ちゃんじゃねぇ。という言葉を発する前に、意識は闇に落ちた。


――兎に角、逃げ出したい。

家臣:松寿丸様!何処に居られるのですか!?

兎に角全てを、投げ出してしまいたい。

家臣:松寿丸様の御身に何かあっては一大事。皆、全力を挙げて探すのだ!
兵士:はっ。

何が「一大事」だ。所詮、お前が案じているのは自分の身。
自分を探すのは、腹の内を見抜かれぬ為の、大切な隠れ蓑だからだ。
滝のような汗を流しながら、必死に探すその姿は、何とも醜悪なものに見えた。

――母を亡くし、数年後には父も亡くしていた。

自分はそのまま田舎の城に取り残された。家督を継いだ兄も、体調が芳しくない。
そのような状況では、家臣の結束が緩むのも、無理からぬ事かも知れない。
今はあらゆる策略、甘言、嘘偽りが、常に自分を取り巻いていた。
この混乱の中で、少しでも自分を優位に置くために。
まだ幼く、武も智もさしたることのない「子供」である松寿丸は、
この上なく価値ある道具であることだろう。

松寿丸:そのようなもの……いらぬ。

地位も、名誉も、家督も、所領も、なんら価値ある物と思えない。
その欠片を見せられる度、血眼になって貪り付くあの者達に、
良いように使われ続けるのは御免だった。大事な謁見だかなんだか、
そんなくだらないものの為、今日もこんな遠くまで連れてこられた。
その準備に気を取られる家臣の目を盗み、その場を飛び出した。

松寿丸:……。まいたか?

何処ぞの、港町。地名になど興味はなかった。
街が入り組んだ作りになっていたが幸いだ。小さな身がするすると細道を抜けてしまえば、
屈強な体躯を持つ兵士共は追ってこられない。息をつき、その場にしゃがみ込んだ。

さて、投げだしてしまった物の、これからどうしたものか。
利用されてばかりとはいえ、城の中でちやほやと育てられてきたのは事実。
子供の身で、一人生き抜けると思っているほど愚かではない。
と、いうことは、何か食いつなぐ術を探さねばならぬ訳だ。
行動を起こすには、まず腹ごしらえ。大福が食べたい。大福があるのは、甘味処。
よし、まずは其処に向かうとするか。流石は自分。冷静な判断が出来ている。

金を持っていないという事実は、この時忘れていた。
勢いよく立ち上がり、一歩踏み出したときだった。

謎声:いてっ!

何かに躓いた。ボロ布を被った、物体。てっきり塵屑だと思っていた。
もぞもぞと動き出す。驚いて思わず身構え、刀を持っていないことに気付いた。

弥三郎:気持ちよく寝てるってのに、いきなり蹴飛ばすたぁどういう了見だこの野郎!

それは、妙に口の悪い、年の頃なら自分と同じくらいの……

――おなごだった。


辿り着いたのは、街外れの荒ら屋。

弥三郎:よぅし、此処が今日から俺等の本拠地だぜぃ!
松寿丸:何度も言うようだが……何故、我が貴様と行動を共にせねばならぬ。
弥三郎:よく言うだろ?困ったときはお互い様。人間、助け合わなきゃな。
松寿丸:そういうのは普通、助けた側の台詞ではないのか?今途方に暮れているのは
    貴様の方であろう。
弥三郎:う……。お前だって人のこと言えねぇだろ、帰れないんだから。
松寿丸:う……。

街外れの路地裏。出会った二人がまずお互いに抱いたのは
「あ、迷子がいる。」という、自分を棚に上げた感想だった。

松寿丸:我の方が貴様より数倍マシだ。海を越えた迷子、阿呆以外の何物でもない。
弥三郎:好きで越えたんじゃねぇよ!あ~あ……こんな事なら逃げるんじゃなかった……
松寿丸:……。

逃げる。その言葉が、妙に胸に刺さった。

弥三郎:兎に角、帰れない人間が此処に集ったんだ。これはもう、海賊として旗揚げし、
    強く逞しく生き抜くしかねぇだろ!
松寿丸:何故そうなる。
弥三郎:え~?お前、ひと繋ぎの大秘宝、欲しくねぇの?それは海賊王が隠した……
松寿丸:何処のゴムゴムだ。その歳でまだ少年誌か貴様。
弥三郎:その歳って……男子足る者、友情・努力・勝利を忘れたら終わりだぜ?
松寿丸:我に必要なのは、計算・捨て駒・甘味だけだ。
弥三郎:最後のはなんだよ。いや、前の二つもおかしいけど。
松寿丸:糖分は脳の動きを活発にするのだ。かの白夜叉と呼ばれた侍も、
    事あるごとに甘味で糖分を補充し、天人と呼ばれる異星人と……
弥三郎:お前もジャ○プ読んでるじゃねぇかよ!しかも相当コアなファンだろ!?
    ……まぁ、何はともあれ、腹が減ったっつう事だな。
松寿丸:それに関しては異論はない。
弥三郎:よし、じゃあひとっ走り探してくらぁ。此処で待っとけよ。(走)
松寿丸:!!?

弥三郎:あのなぁ、付いてきてどうすんだよ。本拠地とられちまうじゃねぇか。
    見張りやっとけ、見張り!
松寿丸:勝手に仕切るな。貴様の命に従う義理はない。
弥三郎:可愛くねぇ奴。不安だから付いて来ちゃいました~くらい言えねぇのかぁ?
松寿丸:(ボコっ)無礼なことを言うと殴るぞ。
弥三郎:手出してから言うなよ!!!しかも殴ると言っておいて蹴りかよ!?
松寿丸:これも策の内。
弥三郎:暴力的なだけだろうが!
松寿丸:む……?何やらよい香が……
弥三郎:あ?何も感じねぇけど……?
松寿丸:この匂いは……饅頭!?(走)
弥三郎:あっ、おい!何処行くんだよ!?(追)

弥三郎:すっげぇ~……本当に甘味屋あったし。お前、犬みてぇな鼻してんだな。
松寿丸:焼け焦げよぉおおおお!!!!(ばやぁああっ)
弥三郎:……。へへっ……(乾)焦がすと言いつつ、雨桶の水をぶっかけるか……。
松寿丸:これも……
弥三郎:策の内かい。
松寿丸:いかにも。では、饅頭をいただいてくる。
弥三郎:へ?あ、おい!俺等金なんて持ってねぇだろうが!(追)

松寿丸:おい。
甘味屋:いらっしゃい~。坊ちゃん、おつかいですか?
松寿丸:余計な詮索は無用。
甘味屋:はぁ……そうですか……。
松寿丸:饅頭を寄越せ。………二つ。
甘味屋:はい。三文になります。
松寿丸:……(もぐもぐ)。つけておけ。
甘味屋:はい?
松寿丸:貸しにしておけと言っているのだ。どうしても金子が欲しくば、
    領主にでも頼むことだな。我の名を用いれば、いくらでも……何をする!
甘味屋:お~い、母ちゃん。ちょっくら奉行んトコ行ってくらぁ。悪餓鬼捕まえた~
松寿丸:なっ、何だと!?貴様、我を誰と思うておるか!?離せ!
甘味屋:無銭飲食は立派な悪党。子供といえど許さねぇぞ。来い。
松寿丸:と、共に領主の元へ来い!さすれば話が分かろうというもの……
甘味屋:五月蠅い餓鬼だな。あんまりガタガタ騒ぐと縛り上げっぞ~?大人しく……
弥三郎:大人しくすんのはてめぇだぁぁっ!!!(飛)
甘味屋:(ごん)ぐぁあぁっ!!!……が、餓鬼が降ってきた!!!?
    く、首……首がごきって……ゴキって行ったぞ母ちゃぁぁああん!!!
弥三郎:(着地)おい、逃げっぞ!
松寿丸:……!!!?
弥三郎:ぼやぼやすんじゃねぇ、さっさと来い!(走)

弥三郎:はぁ……はぁ……結局……本拠地まで……走り通しかよ……
松寿丸:お、おなごに救われるなど……一生の不覚!
弥三郎:あ?何ぶつぶつ言ってんだ?……お前なぁ、身なりがいいから何処ぞの
    ぼんぼんなのは分かるけどよぉ、常識無さ過ぎ。とっ捕まっても文句は
    言えねぇぜ?
松寿丸:五月蠅い、地元ではこれで通っておるのだ。第一、貴様が余計なことをするから
    追っ手が増えたではないか。
弥三郎:あのおっさんもこんな所まで追って来ねぇさ。にしても疲れたぜ……
    今日は空きっ腹抱えたままで寝るしかねぇ……(開)……ん?
松寿丸:どうした?
弥三郎:本拠地に……何か気配が……
謎声:あ~?誰だ、お前等?

街外れの荒ら屋。其処に巣くっていたのは――野盗の群れだった。

松寿丸:成る程。我等が本拠にする前に、拠点としている者が居たと言うことか。
弥三郎:呑気に納得してる場合か!!!!
野盗:ほぉ……なんだか知らねぇが、身なりの良い餓鬼じゃねぇか。
野盗:身ぐるみ剥ぐも良し、家を吐かせて金をせびるも良し。
野盗:こりゃ神が与えたもうた贈りもんだな(笑)
松寿丸:おのれ……愚民は愚民に相応しく、この薄汚い家屋の煤となるが良いわ!
弥三郎:煽るな馬鹿!第一……その薄汚い家に、俺等も住み着こうとしてたんだぞ?
野盗:なんだ、娘もいるじゃねぇか?
弥三郎:あ?
野盗:ほぉ……なかなかの器量じゃねぇか。
野盗:こりゃ売り飛ばせばかなりの儲けになるな。
弥三郎:………。てめぇら………魚の餌にしてやらぁああああああ!!!!
松寿丸:貴様の方が熱くなっておるではないか。
野盗:とっ捕まえろっ!!!!!
弥三郎:やべっ!
松寿丸:!!!

相手は6人。ろくな鍛錬などしていないだろうが、やはり体格は良く、
取り囲まれれば縮み上がるしかできない。子供二人が丸腰で勝てようはずもないのだ。
それでもなんとか逃れようと、手近な薪を振り回してみたり、蹴飛ばしてみたり。
相手は嘲笑いながら、その一つ一つを交わし、太い腕を伸ばしてくる。
徐々に逃げ道はなくなり……

野盗:もう観念しな、嬢ちゃん?
弥三郎:くっ……こ、これでもくらいやがれ!
野盗:ぐあああっ!!!

手に掴んでいたのは、柄杓だった。乱雑に置かれていたその先は、
囲炉裏に火鉢に潜り込んでいたのだ。紅く灼けた灰を被り、野盗は悶絶する。

野盗:こ、この糞餓鬼……!
弥三郎:!!!

野盗は遂に、刀を抜いた。静かに閃いたそれは、真っ直ぐに振り下ろされ……

松寿丸:右だ!
野盗:何っ!?ぐあっ!!!

薄暗い荒ら屋。誰の声とも分からぬまま、反射的に視線を向けた。
その先には、鏡に反射された西日。傾きかけ、光を弱めているとはいえ、
まともにそれを食らえば目を灼かれる。思わず顔を覆った野盗の後頭部を
重たい衝撃が襲った。

松寿丸:愚か者めが。
野盗:こ、この……
弥三郎:さっさと倒れろってんだよ!

元は漁師小屋であったのか。手近にあった碇で殴れば、野盗は漸く静かになった。

弥三郎:助かったぜ……
松寿丸:助けて等おらぬ。たまたま策にはまったのが彼奴であっただけのこと。
弥三郎:つくづく可愛くねぇな。

胸を撫で下ろしたのはつかの間だった。

野盗:大人をなめてると……痛い目見るぜ?

息を呑み、身を凍らせる。首筋に触れる、冷たい感触。
動けば間違いなく、それは皮膚を食い破るだろう。
観念し、目を閉じたときだった。

兵士:痛い目を見るのは貴様の方だ!

朗々とした声と共に、大勢の人間が雪崩れ込んできた。
見慣れた鎧。手に手に刀。自軍の者達だ。野盗達は舌打ちしながら武器を捨てる。

兵士:若子様!?怪我無いっすか!?
兵士:松寿丸様ぁぁあああ!!!!よくぞご無事でぇえええええ!!!!!!

その声に安堵し、互いに背を預けたまま、ずるずるとへたり込んだ。

――まず最初にもらったのは、言葉ではなく、拳骨だった。

弥三郎:ぐぉおお……
松寿丸:何故我まで……
母:こんなに多くの者達に心配を掛けて……当然の罰です。
弥三郎:うぅ……
母:せめて船に止まっていればいいものを、勝手に抜け出して……。
  あの漁師様が知らせてくれねば、貴方は今頃刀の錆です!
弥三郎:すいませんでした……
母:内海であったから直ぐに迎えに来られた物の、どうなってしまったか分からぬと
  聞いて……母は……母は……もう……
弥三郎:……ご、ごめんなさい……
母:もうお前にお着物を着せられないのかと絶望のズンドコに落ちたのですよ!!!!?
弥三郎:そこかよ!!!……うぉ!?
母:(抱)よかった……本当に……。
弥三郎:……。
松寿丸:……。
母:あら?勢いでつい抱きしめて仕舞いましたが、此方はお友達?
松寿丸:抱きながら確認するな。友達ではない。
弥三郎:冷てぇ奴だな。生きるか死ぬかを一緒に戦い抜いたってのによぉ。
松寿丸:共に、ではない。我がたまたま鏡を所持し、たまたま日輪の加護を受けた所に
    偶然貴様が関係してきただけのこと。
弥三郎:この野郎……甘味屋で見捨ててやりゃあ良かったか?
兵士:無礼を申すな!この御方は毛利弘元が御子息、松寿丸様にあられるぞ!
母:!!!
弥三郎:知ってんのか?
母:い、いえ……
松寿丸:……。
母:と、兎に角、二人とも無事でなにより!お父上お母上も心配しているでしょう。
  早く元気なお顔を見せて差し上げなさいな。
松寿丸:父も母も既にない。誰も我を案ずる者などおらぬ。
母:……。
松寿丸:……。
弥三郎:馬鹿じゃねぇの、お前。
松寿丸:なんだと?馬鹿と言った方が馬鹿だ。
弥三郎:子供か!
松寿丸:子供だ。
弥三郎:ああ、そうかよ……。まぁどっちにしろ馬鹿だぜ?後ろ見てから物を言えよ。

背後に並ぶは、自軍の兵達。それは心底安堵している、柔らかな表情。

弥三郎:お前の無事を喜んでる奴が誰もいないって?
松寿丸:……。
弥三郎:さっさと帰ろうぜ~、俺腹へっちまった。
母:こら、弥三郎。お世話になったのでしょう。ちゃんと松寿丸様に挨拶なさい。
松寿丸:……?弥三郎……?
弥三郎:あ~……まぁ面白かったぜぃ!暇があったらうちに来いよ。
    こないだ作ったカラクリ見せてやっから!
母:そうではありませぬ!ちゃんと頭をさげて、「来てくださいね」でしょう!
弥三郎:いででで!!!無理矢理頭をおすなっての!首、首がぁああああ!!!!
母:では松寿丸様、我が領にも、一度お寄り下さいませ。では。
松寿丸:………。

嵐のようにやって来た母子の船は、白い波跡を残して去っていった。

松寿丸:だ、男子……だったのか……。


元就:そのようなこと……全く覚えておらぬ。
元親:酷ぇ!!!出会いを覚えていなくてどうすんだよ!!!
元就:貴様のことなど、記憶から消し去ってやりたいのでな。
元親:……。ああ、もう、大福やらね!
元就:な、何をする!稀少な苺大福を!返さぬか!………。
元親:………?なんだよ?人の顔じろじろ見て。
元就:………。(舌打)何故あの娘が、こんな鬱陶しいほど頑丈な男になるのだ……
元親:あんだって?
元就:何も言っておらぬ!ただ過去の自分を悔いていただけよ!
元親:?
元就:兎に角大福を返せ!まったく……これだから貴様は……。……。
元親:どうした?
元就:苺がない。
元親:は?
元就:苺大福なのに苺が無くなっておるではないか!
元親:あれ?転げ落ちたのか?
元就:貴様の所為だぞ元親!
元親:いていて!俺殴ってもしょうがねぇだろうが!その辺に落ちてんだろ。
   早く探せ、3秒ルールだ!
元就:とっくに3秒など過ぎておろうが!

――もう、逃げる必要なんて無い。

 

〔あとがき(?)〕
元就:またしても、か。
元親:何が?
元就:話の方向性が統一されていない。
元親:まぁ、いつもの事だろ。幼名とか、親とか、年齢とか、相当いい加減な設定だしな。
   何より……今回もお袋に持って行かれた気がするし……。
母:そんなことありませんよ?貴方はいつでも輝いています。
  と言うわけで、新作衣装も用意したの。着て着て~♪
元就:奴のコスプレ癖はこうして作られたのか……。
元親:しみじみ頷くな!違う!違うから!好きこのんで女の子だったわけじゃないから!
母:問答無用!いざ、フリフリレースリボ~ン♪
元親:意味わかんねぇよ!やめっ……ツインテールは無理だってぇえええ!!!!
元就:次は真田等の話だそうだ。あまり期待せずに待て。

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